ドイツ金融・保険業界の動き

アリアンツとMSが提携、オープンな保険プラットホームをクラウドで提供

アリアンツの保険プラットホーム「アリアンツ・ビジネス・システム(ABS)」をマイクロソフトのクラウド「アジュール」に移管したうで、同業企業が利用できるようにする。

アリアンツはABSのソースコードを公開し、同プラットホーム上で使えるソフトを外部のIT事業者が開発できるようにする。

インシュアテック(ITを活用した保険分野のスタートアップ企業)が同マーケットプレイスを活用し、低コストでサービスを開発することも視野に入れている。

アリアンツ

保険大手のアリアンツが8日発表した2019年第3四半期(7~9月)決算の営業利益は前年同期比0.1%減の29億8,400万ユーロとやや落ち込んだ。

生保は2.9%増、資産管理は8.2%増と増益を確保した。

売上高は8.1%増の334億ユーロ、純利益は0.6%増の19億4,700万ユーロだった。

ドイツ銀行―2四半期連続赤字に、組織再編費が圧迫―

独銀最大手のドイツ銀行(フランクフルト)が10月30日発表した2019年第3四半期(7~9月)決算の純損益は9億4,200万ユーロの赤字となり、前年同期の黒字(1億3,000万ユーロ)から大幅に悪化した。赤字は2四半期連

政府が環境国債の発行を計画、CO2排出削減に向け

ドイツ政府が環境国債(グリーンボンド)の発行を計画している。オーラフ・ショルツ財務相(社会民主党=SPD)が『南ドイツ新聞』に明らかにしたもので、来年の発行を予定している。同国初の環境国債となる。 グリーンボンドは調達資

独コメルツ銀のポーランド子会社、エルステが買収検討

オーストリア金融大手のエルステ・グループが、独同業コメルツ銀行が売却を計画しているポーランド子会社mバンクの買収に関心を示している。

同副会長は、売却に際してはフラン建て債権が除外される可能性が「かなり高い」との見方を示した。

ポーランド金融監督庁(KNF)のヤチェク・ヤストジェブスキー局長は9月、mバンクのフラン建てポートフォリオはコメルツ銀に移管すべきとの考えを表明している。

金融機関が自動車業界向け融資を縮小

ヘッセン・テューリンゲン州立銀行(Helaba)のハインリヒ・マース販売戦略部長はブルームバーグ通信に「すべての銀行に当てはまるように、リスクが視野に入った場合、わが行は融資規模を適合させる」と発言。

すでに貸倒が発生していることを明らかにした。

バーデン・ヴュルテンベルク州立銀行(LBBW)のマンフレート・ロッホナー取締役(企業顧客担当)は証券紙『ベルゼンツァイトゥング』に、自動車業界向け融資を「やや縮小したい」と明言した。

エルゴ―長城汽車と中国で合弁―

独ミュンヘン再保険の元受子会社エルゴ(デュッセルドルフ)は28日、中国の自動車大手・長城汽車(GWM)と共同で合弁会社を設立することで基本合意したと発表した。

新会社ではGWMのディーラーおよそ1,000社を通してエルゴの自動車保険を販売するほか、中国市場向けのモビリティソリューションを開発する。

中国の自動車保険はその80~90%がディーラーで販売される。

クロスレンド―3500万ユーロ調達―

独フィンテックのクロスレンド(ベルリン)がスペインのサンタンデール銀行を中心とする投資家から総額3,500万ユーロの資金を調達するもようだ。

ブルームバーグ通信が消息筋の情報として16日、報じたもので、クロスレンドは調達資金を新たな市場の開拓に充てる。

今回の資金調達は同社を1億ユーロ超と評価して行われた。

州立銀Helabaと貯蓄銀のファンド会社Dekaが合併協議へ

貯蓄銀行の全国組織である独貯蓄銀行・振替銀行連合会(DSGV)は8日、貯蓄銀行の中央金融機関を設立する構想の具体化を貯蓄銀行地域団体の会長会などが決議したと発表した。

貯蓄銀行と州が共同出資する州立銀行、および貯蓄銀行独自の金融機関を統合し、貯蓄銀が競争力を維持できるようにする狙いだ。

これらの貯蓄銀はそれぞれの所在地の州とともに州立銀行に出資している。

フランクフルトはブレグジット最大の勝者、31行が業務移管先に選定

英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の最大の恩恵を受ける都市はフランクフルトであることが、独ヘッセン・テューリンゲン州立銀行(Helaba)の調査で分かった。

フランクフルトに次ぐロンドンからの移管先はパリで、外国系の銀行11行が選定した。

また、野村ホールディングスはフランクフルトとパリの2都市に移管する。

Commerzbank:コメルツ銀行―新戦略を監査役会が承認―

事業のデジタル化を加速するとともにコストを削減し、競争力を高める狙い。

インターネット・モバイルバンキングの利用増を背景に実店舗の利用者が減少していることから、国内の支店は200カ所閉鎖して800カ所とする。

国際事業を展開する企業にサービスを提供する「企業顧客部門」では既存顧客との取引を拡大するとともに新規顧客を大幅に増やしていく意向で、営業要員をドイツだけで150人強、増強する。

ADAC<欧州自動車短信>

自動車ドライバーの会員制サポート組織である全ドイツ自動車クラブ(ADAC)は19日、独保険大手アリアンツと提携し、新自動車保険商品を10月1日から販売をすると発表した。

2008年度の保険契約件数は、ADACの会員(約2,000万人)のうち、約65万人がチューリヒと提携販売した保険に加入していた。

ADACは今後、アリアンツと提携販売する保険を同会員へ普及させ、保険加入者数の拡大を目指す。

ANA:全日本空輸―日本初のキャンセル保険、独社の技術で開発―

搭乗予定便が悪天候により欠航のおそれがあると判断され、乗客が航空券をキャンセルした場合、取消手数料と払戻手数料を補償する。

悪天候で欠航の可能性があると搭乗日直前に判断された場合はこれまでも、取消手数料と払戻手数料なしで航空券をキャンセルできた。

悪天候により欠航のおそれがあると日本気象協会が判断した場合、実質的な負担ゼロでの航空券キャンセルが5日前から可能となる。

ブロックチェーン戦略を政府が策定、デジタルベースの有価証券やICOの法整備へ

ドイツ政府は18日の閣議でブロックチェーン戦略を了承した。

ブロックチェーンでは記録されたデータを消したり修正することができない。

ただ、リブラを否定する政府の態度に対しては、ビットコイン全国連盟のマルクス・エヴァルトから、新しいデジタル通過を禁止するのではなく、それを創出できるようにするための法的な枠組みを整備すべきだとの批判が出ている。

Deutsche Bank:ドイツ銀行

金融大手のドイツ銀行は23日、ヘッジファンドと電子株取引事業を仏同業BNPパリバに売却することで合意したと発表した。

売却額など取引の詳細は明らかにしていない。

監督当局の承認を経て両事業を譲渡する。

Commerzbank:コメルツ銀行―ネットバンク子会社を統合―

時代の変化に合わせてモバイル事業を強化するとともに国内の支店を統廃合する。

だが、近年はデジタル化の進展を背景に両行の事業モデルが近接してきたことから、コムディレクトを統合することにした。

同子会社を放出すると、コメ銀のリスク加重資産はおよそ170億ユーロ圧縮される。

Deutsche Bank:ドイツ銀行―中国フィンテックの掘り起こし拠点開設―

金融大手のドイツ銀行(フランクフルト)が中国のフィンテックを掘り起こすための拠点を上海に開設した。

ドイツ銀はフィンテックを掘り起こすための拠点をロンドン、ベルリン、シンガポールでも展開している。

中国の拠点ではB2B分野のフィンテックに照準を合わせる。

Wirecard:ワイヤーカード―中国銀聯とグローバル協業―

決済サービス大手の独ワイヤーカード(アッシュハイム)は16日、クレジットカード世界最大手の中国銀聯とグローバル協業することで合意したと発表した。

ワイヤーカードは「銀聯カード」を利用できる店舗を中国以外で拡大する。

また、中国を訪問する外国人が銀聯カードで支払いを行えるようにする。

ティッセンがDAXから転落、商用車のトレイトンはSDAXに採用

フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所は4日、採用基準が最も厳しい「プライム・スタンダード」の定期銘柄入れ替えを発表した。

ティッセンクルップは時価総額が大幅に低下し、プライム・スタンダード採用企業ランキングで45位へと下落したことから、降格となった。

銘柄入れ替えは23日付で実施される。

Fujitsu:コメ銀が富士通の技術活用、証券組み合わせの最適化を実証

富士通は8月30日、独コメルツ銀行の研究機関マイン・インキュベーターが、量子現象に着想を得た組合せ最適化問題を高速に解く富士通の計算機アーキテクチャー「デジタルアニーラ」を活用し、成果を上げたと発表した。

自動車メーカーは流動資産の管理を最適化するためにカーリース契約を証券化して投資家に売却する。

富士通は「マイン・インキュベーターのPoCでは、実業務においてもそれが実証された」としている。

Taunus Sparkasse:貯蓄銀と信用組合が支店を大幅に統合へ

フランクフルトを中心とする地域で事業を展開するタウヌス貯蓄銀行とフランクフルト人民銀行(信用組合)が支店の大部分を統合する。

ネットバンキングの利用増を受けて、金融機関の支店を利用する顧客は減少し続けている。

両行はこうした現状を踏まえ、支店の多くを共有することを決定した。

Wirecard:ワイヤーカード

金融サービス大手の独ワイヤーカードは2日、ソフトバンクの完全子会社で移動端末の卸売事業を手がける米ブライトスターと協業合意したと発表した。

これ以外の分野でも協業を検討していく。

ソフトバンクとは4月に戦略協業合意を締結した。

ネット通販のカード決算、本人認証の強化を独が先送り

ドイツ金融監督庁(BaFin)は21日、欧州連合(EU)の新決済サービス指令(PSD 2)に基づくクレジットカード利用者の本人認証強化措置について、9月14日からの導入義務を当面、免除すると発表した。

だが、これだとオンライン詐欺などを防止できないことから、EUはPSD 2を施行し、ネット決済の安全性を向上させることにした。

PSD 2の運用に向けて定めた「規制技術基準(RTS)」には、商品をカードで購入する消費者がカードの所有者であることを確かめるための本人認証の要素として「本人のみが知っていること(知識)」、「本人のみが所有するもの(所有物)」、「本人に先天的に備わるもの(生体情報)」の3つが規定されている。

Munich Re:ミュンヘン再保険―第2四半期純益36%増加―

再保険部門の純利益は38.4%増の8億5,800万ユーロに拡大した。

大型災害(保険金1,000万ユーロ超)の保険金総額は2億200万ユーロで、前年同期(6億500万ユーロ)の3分の1にとどまった。

ドイツ国内の生命・医療保険事業が前年同期の赤字(1,500万ユーロ)から7,200万ユーロの黒字へと転換したことが大きい。

Commerzbank:コメルツ銀行―第2四半期営業益26%減少―

独コメルツ銀行(フランクフルト)が7日発表した2019年第2四半期(4~6月)決算の営業利益は前年同期比25.5%減の2億9,800万ユーロと大きく落ち込んだ。

19年12月期の純利益がやや増加するとした業績見通しの実現は容易でないとの見方を示した。

税負担が前年同期の9,400万ユーロから2,000万ユーロへと大幅に減ったことが大きい。

Wirecard:ワイヤーカード―ソフトバンクの出資先ホテルと協業―

金融サービス大手の独ワイヤーカード(アッシュハイム)は20日、ソフトバンクの出資を受けるインド系ホテルチェーン大手のOYOと協業すると発表した。

ワイヤーカードがソフトバンクの出資先と協業するのはこれで2件目となる。

ワイヤーカードは決済サービスの有力企業で、ソフトバンクとは4月に戦略協業合意した。

Generali:伊保険大手ゼネラリ、独社のハンガリー・スロバキア事業取得

伊保険大手ゼネラリはこのほど、独同業エルゴからハンガリーの生命・損害保険事業とスロバキアのセット保険事業を買収したと発表した。

顧客層が広がるとともに、複数の保険商品を組み合わせて提供する体制を強化できる。

ゼネラリは中東欧事業強化に向けて、今年2月にスロベニアの複合企業KDグループから同国保険大手のアドリアティック・スロベニカを買収したばかり。

Allianz:アリアンツ―第2四半期増益に、生保がけん引―

保険大手の独アリアンツ(ミュンヘン)が2日発表した2019年第2四半期(4~6月)決算の営業利益は31億5,900万ユーロとなり、前年同期を5.4%上回った。生命・医療保険部門が好調で、損害保険部門の不振が相殺された格好

Heidelpay:ハイデルペイ―投資大手KKRが買収―

決済分野のフィンテック(ITを活用した金融サービス事業者)である独ハイデルペイは5日、同社の過半数資本を米投資大手KKRが英投資会社アナキャップ・ファイナンシャル・パートナーズから取得し新たな親会社になったと発表した。ハ

N26―時価総額で欧州フィンテック1位に―

モバイルバンキングサービスを手がける独新興企業N26(ベルリン)は18日、事業の拡大に向けて既存の出資者から新たに1億7,000万ドル(1億5,200万ユーロ)を調達したと発表した。資金調達では同社を35億ドル(31億ユ

Wirecard:ソフトバンク支援の独2社が戦略協業

独金融サービス大手ワイヤーカードは18日、自動車販売ポータルを運営する独アウト・アインツ・グループと戦略協業すると発表した。両社はソフトバンクから資金などの支援を受ける企業。ソフトバンクのネットワークに入ることで事業の拡

N26―米国でサービス開始―

モバイルバンキングサービスを手がける独新興企業N26(ベルリン)は11日、米国市場で顧客向けサービスを開始したと発表した。欧州域外で事業を展開するのは初めて。全世界で顧客5,000万人を獲得するという目標実現に向けた大き

独世帯の金融資産、過去最高の6兆1,695億ユーロに

ドイツの一般世帯が保有する金融資産の総額は3月末時点で前年12月末を2.6%(1,535億ユーロ)上回る6兆1,695億ユーロへと拡大し、過去最高を更新したことが、連邦銀行(中銀)の発表で明らかになった。資産形成(可処分

金融都市フランクフルトとパリが提携の方向

英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けて金融機関の誘致合戦を繰り広げてきた独フランクフルトと仏パリが手を結ぶ方向だ。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が11日、報じたもので、フランクフルトの金融立地競争力強化を目的とする

銀行のシステム障害、昨年は300件強に

ドイツの銀行で昨年発生したシステム障害の件数は301件に上ることが、緑の党のダニアル・バヤズ連邦議会(下院)議員が提出した質問に対する連邦財務省の回答で明らかになった。同国ではコメルツ銀行やドイツ銀行など大手金融機関でシ

Deutsche Bank:ドイツ銀史上最大の人員削減、「原点回帰」へ

独銀最大手のドイツ銀行は7日、大規模な組織再編計画を発表した。企業顧客を対象とする部門を新設するとともに、株式取引事業から撤退するなどして業績の足かせとなっている投資銀行部門を縮小。コストを大幅に削減し、安定的に利益を稼

Standard Chartered:スタンダードチャータード―独行員数2.7倍に―

英大手銀行スタンダードチャータードの独子会社、スタンダードチャータード・バンクAG(フランクフルト)の行員数は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定を受けて2.7倍に拡大した。同子会社のハインツ・ヒルガー社長の

Allianz:アリアンツ―スペイン保険販売合弁から撤退―

保険大手の独アリアンツ(ミュンヘン)は24日、同社の保険商品を販売するスペインの合弁会社、アリアンツ・ポピュラールの全保有株60%を共同出資者である現地銀最大手バンコ・サンタンデールに9億3,650万ユーロで売却し、資本

Springer:シュプリンガー―投資会社KKRがTOB―

独新聞大手アクセル・シュプリンガー(ベルリン)は12日、米投資大手KKRと戦略パートナーシップを締結することで合意したと発表した。KKRの支援を受けて、古典的な新聞社からインターネット企業への脱皮を図る。これに伴いKKR

N26―顧客数が1年で3.5倍に―

モバイルバンキングサービスを手がける独新興企業N26(ベルリン)は13日、顧客数が350万人に達したことを明らかにした。昨年6月の時点で同100万人だったことから、この1年で3.5倍に拡大したことになる。進出先国を欧州2

Varta:ファルタ―増資で1億ユーロ強を調達―

電池大手の独ファルタ(エルヴァンゲン)は13日、国際的な投資家向けに新株を発行し、1億400万ユーロを調達したと発表した。リチウムイオン電池セルの生産能力増強に充てる。 ファルタは5日、同電池セルの生産能力を従来計画より

VW:フォルクスワーゲン―商用車子会社が28日IPOへ―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)は13日、100%傘下の商用車子会社トレイトンの新規株式公開(IPO)を28日に実施すると発表した。発行済み株を最低10%、最大11.5%を売り出す計画だが、フラ

フォルクスワーゲン―商用車子会社のIPO夏休み前に―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)は3日、商用車子会社トレイトンの新規株式公開(IPO)を夏休み前に実施する計画を明らかにした。当初は4月のイースター休暇前に実施予定だったが、市場環境の悪化を受け

アリアンツ―英で買収、現地損保2位に浮上―

保険大手の独アリアンツ(ミュンヘン)が英国の損害保険事業を一段と強化する。同社は5月31日、現地同業リーガル・アンド・ジェネラル(L&G)の損保部門を完全買収するとともに、同国損保大手LVジェネラル・インシュア

スマホ銀行N26に資金洗浄対策を命令、事業拡大優先で後手に

ドイツ金融監督庁(BaFin)は22日、モバイルバンキングサービスを手がける新興企業N26に対し、資金洗浄・テロ資金対策の改善を命じたと発表した。ブラックマネー対策が不十分であることが明らかになったため。同社は対策強化方

非接触型決済が急増、アップルペイなどの導入きっかけに

現金支払い信仰の根強いドイツで非接触型決済の利用が急速に増えている。コンサルティング大手オリバー・ワイマンが同国の消費者1,500人強を対象に実施したアンケート調査によると、非接触型決済の利用者の割合は1月時点で47%に

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