欧州自動車産業情報、メーカーの動向、最新技術の情報を配信

2012/12/7

総合 – 自動車産業ニュース

EUが対日EPA交渉開始で合意、自動車のセーフガードなど条件に

この記事の要約

EUが対日EPA交渉開始で合意、自動車のセーフガードなど条件に\ \ 欧州連合(EU)27カ国は11月29日に開いた通商担当相理事会で、日本と貿易や投資、サービスを自由化する経済連携協定(EPA)締結に向けた本交渉を開始 […]

EUが対日EPA交渉開始で合意、自動車のセーフガードなど条件に

\

\

欧州連合(EU)27カ国は11月29日に開いた通商担当相理事会で、日本と貿易や投資、サービスを自由化する経済連携協定(EPA)締結に向けた本交渉を開始することで合意した。日本車の輸入急増を恐れるフランスなどが難色を示していたが、輸入が大幅に増えた場合に緊急輸入制限措置を発動できるセーフガード条項を協定に盛り込むことなどを条件に譲歩し、交渉開始に応じた。

\

日本とEUは今年5月にEPA締結に向けた予備交渉を完了。欧州委員会は7月、本交渉の開始を加盟国に提案した。

\

対日EPAをめぐっては、欧州委が日本への輸出が薬品、化学品、食品、飲料などを中心に32%増加し、EUの域内総生産(GDP)が0.8%押し上げられ、42万人の雇用創出効果が見込めるとして前向きで、自由貿易主義の英国なども支持している。しかし、昨年7月に発効した韓国とEUの自由貿易協定(FTA)を受けて韓国からの輸入が急増している自動車業界が猛反発。フランス、イタリアなど、日本車と競合する小型車を多く生産している加盟国も慎重な姿勢だった。すでに日本が輸入自動車の関税をゼロにしている一方で、EUでは日本車に乗用車で10%、トラックで22%の関税をかけていることが背景にある。

\

通商担当相理事会では、こうした懸念に配慮し、欧州委が日本との交渉で、自動車など自由化による影響が大きい分野に関してセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動する権利を主張するよう求めることで合意。また、大きな問題となっている日本の自動車、医薬品市場の非関税障壁について、交渉開始から1年以内に日本が撤廃に応じない場合は交渉を打ち切るという条件も付けて、交渉開始を承認した。

\

EUにとって日本は世界7位の貿易相手国。2011年の物品貿易で、日本は全体の3.6%を占めている。一方、日本にとってEUは3番目の貿易相手で、同割合は11%に上る。日本とEUは、EPA締結が不振に直面する経済の活性化につながると期待している。

\

ただ、EUの自動車業界は、なお対日EPAに強く反対している。欧州自動車工業会(ACEA)は同日、EPAによってEUから日本への自動車輸出は7,800台増えるが、日本車の対EU輸出が44万3,000台増えるため、EUにとってマイナスで、3万5,000~7万3,000人の雇用が失われるとの試算を提示し、「一方通行だ」と批判。日本が非関税障壁を撤廃するかも疑問として、交渉を注意深く見守っていく考えを示した。

\
クローズアップ
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |