2010/6/14

総合 –EUウオッチャー

EU統計局に監査権付与で合意、加盟国の統計“粉飾”対策で

この記事の要約

EUは8日開いた財務相理事会で、加盟国が財政などの統計を正確に報告しているかどうかを確認するため、EU統計局のユーロスタットに各国統計局を監査する権限を与えることで合意した。ギリシャの財政虚偽報告がきっかけとなってユーロ […]

EUは8日開いた財務相理事会で、加盟国が財政などの統計を正確に報告しているかどうかを確認するため、EU統計局のユーロスタットに各国統計局を監査する権限を与えることで合意した。ギリシャの財政虚偽報告がきっかけとなってユーロ圏全体を揺るがす信用不安問題に発展した反省を踏まえ、EUが各国の統計に目を光らす体制を強化する。

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EUでは昨年、ギリシャとイタリアによる財政赤字の過少申告が相次いで発覚。6月初めには、非ユーロ圏のハンガリーでも前政権による財政赤字“粉飾”の疑惑が浮上した。

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これを受けて同日の理事会では、加盟国が統計を急に修正したり、明確な理由を示さないまま修正した場合などに、ユーロスタットが監査に入り、統計に問題がないか調査することを決めた。

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EUではブルガリアが4月、国内総生産(GDP)比1.9%と報告していた2009年の財政赤字を3.7%に大幅修正したばかり。欧州委員会のレーン委員(経済通貨問題担当)は理事会後の記者会見で、ブルガリアの統計の信頼性について「少し心配だ」と述べ、近く同国に調査団を派遣する方針を示した。

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同日の理事会では、欧州委が提案した銀行への課税構想についても協議された。同構想は金融危機再発策の一環で、銀行に特別税を課し、将来の破たんに備えた基金「銀行清算基金」を創設するというもの。5日閉幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、反対意見が出て各国が足並みをそろえての導入は見送られたが、EU財務相理事会は独自での導入を目指し、詳細を詰める方針を打ち出した。

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ただ、加盟国内では課税基準や基金の使い方などをめぐり意見の違いがあり、調整は難航しそうだ。

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