2012/9/10

産業・貿易

女性役員登用の義務付けへ、欧州委が来月に法案発表

この記事の要約

欧州委員会は、EU域内の上場企業に対して2020年までに取締役会に占める女性の割合を40%に引き上げることを義務付ける法案を来月発表する予定だ。企業における男女格差の是正が目的で、従わない企業には違反金その他の制裁措置が […]

欧州委員会は、EU域内の上場企業に対して2020年までに取締役会に占める女性の割合を40%に引き上げることを義務付ける法案を来月発表する予定だ。企業における男女格差の是正が目的で、従わない企業には違反金その他の制裁措置が科されることになる。

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3日付の英『フィナンシャル・タイムズ』が入手した資料をもとに報じたところによると、従業員数250人以上、あるいは年間売上高が5,000万ユーロ以上の企業は、取締役会の男女構成比を毎年報告することが義務付けられる。規定に従わない企業には違反金の支払いを命じたり、政府の入札への参加禁止や公的補助金の対象外とするなどの制裁措置を科す。

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欧州委のレディング副委員長(司法・基本権・市民権担当)は昨年3月、女性取締役の割合を2015年までに30%、20年までに40%に引き上げるよう企業に要請した。欧州委のまとめによると、上場企業の女性取締役の割合は今年1月時点で平均13.7%。2010年の11.8%から改善したものの改善のペースは緩やかで、レディング副委員長は、「自主規制は満足な結果を出していない」として、女性役員の登用を義務づける割当制(クオータ制)の法制化の必要性を訴えていた。

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クオータ制の導入には、英国やスウェーデンなど一部加盟国が反対する姿勢を見せている。英国は他の加盟国に宛てた書簡のなかで、企業における男女格差是正の問題には各加盟国が独自に取り組みを進めていると指摘。欧州委の動きはそうした各国の努力に水を差すものだと批判し、「EUレベルでクオータ制を義務付ける法案は支持しない」と明言している。

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