2012/9/10

環境・通信・その他

欧州委が無線周波数帯の共用促進を提言、統一管理で技術革新後押し

この記事の要約

欧州委員会は3日、周波数帯の共用を可能にする無線技術のイノベーションを促進し、スマートフォンなどの普及に伴うデータ通信量の急激な増加に対応するための施策方針を発表した。2020年までにすべてのEU市民が 通信速度30メガ […]

欧州委員会は3日、周波数帯の共用を可能にする無線技術のイノベーションを促進し、スマートフォンなどの普及に伴うデータ通信量の急激な増加に対応するための施策方針を発表した。2020年までにすべてのEU市民が 通信速度30メガビット/秒以上の高速ブロードバンド接続サービスを利用できるようにするという目標の達成に向け、周波数帯の有効活用を進めて次世代モバイルネットワークの早期実現を目指す。

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欧州委は域内全域で超高速通信網の整備を進めるため、今年2月に採択された第4世代(4G)移動体通信向け周波数帯の開放を柱とする「周波数政策計画(RSPP)」に沿った具体策の検討を進めている。今回の提言はその第1弾となるもので、事業免許や通信インフラを持たない事業者に一定の条件下で無線通信サービスの提供を許可したり、周波数帯の二次取引を認めるなど、各国の通信当局が無線周波数管理で足並みを揃えて周波数帯の共用を促進するよう求めている。

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欧州委によると、スマートフォンやタブレット型端末などインターネット接続機能を持つ携帯端末の使用台数は2015年までに世界全体で約70億台を超え、データ通信量は毎年26%のペースで増加を続けるとみられている。こうしたなかで世界的に無線周波数帯の効率利用が求められており、欧州委は周波数帯の共用を促進することで、特定のエリアや時間帯で未使用の帯域を活用したサービス提供が可能になり、4Gネットワークのライセンスを取得した事業者も周波数割り当て入札に投じた巨額資金の一部を回収することができると説明している。

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欧州委のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は声明で「無線周波数は経済活動を営むすべての企業と個人にとって不可欠な酸素のようなものだ。周波数が不足すればモバイルネットワークもブロードバンドもまったく機能しなくなる。貴重な資源を最大限に活用してこうした容認しがたい事態を回避しなければならない。そのためには統一された周波数管理を通じて単一市場を形成し、研究・開発のための投資を奨励してモバイルおよびデータ通信分野で再び欧州が主導権を握る必要がある」と強調している。

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