2013/12/16

産業・貿易

「ビットコイン」利用過熱に警鐘、規制・監督も検討へ=EU当局

この記事の要約

EUの欧州銀行監督機構(EBA)は13日、インターネットの世界だけで通用する「ビットコイン」をはじめとする仮想通貨について、保有や利用に大きなリスクがあるとして、消費者に警告する声明を発表した。価値の裏付けがない“幻の通 […]

EUの欧州銀行監督機構(EBA)は13日、インターネットの世界だけで通用する「ビットコイン」をはじめとする仮想通貨について、保有や利用に大きなリスクがあるとして、消費者に警告する声明を発表した。価値の裏付けがない“幻の通貨”で、各国金融当局の監督下にないにもかかわらず、世界中で人気が高まり、取引が過熱していることを受けたもの。EBAは消費者保護などの観点から仮想通貨の実態を検証し、必要に応じて規制・監督対象とする方針だ。

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仮想通貨はネット通販の決済や国際送金に利用されているほか、価値の高騰に伴って投資の対象ともなっている。なかでも注目されているのが「ビットコイン」。2009年に運用が開始された同仮想通貨は急速に普及し、価値が急上昇しており、09年に24米ドルで5,000ビットコインを購入したノルウェーの個人投資家が利益で家を購入したといった話題が世界を駆けめぐっている。

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ただ、仮想通貨は各国中央銀行による価値の裏付けがなく、利用者の信用だけで成り立っている。このため、いったん信用が失墜すると、瞬時に価値がゼロになるというリスクもはらんでいる。

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EBAは声明で、仮想通貨が監督対象外であるため預金が保証されず、これを利用したネット通販の取引にEUの消費者保護ルールが適用されない点や、ハッキングによって保有する仮想通貨が盗まれる恐れがあることを指摘。また、マネーロンダリング(資金洗浄)など犯罪に使われた場合に、交換所が当局から閉鎖を命じられ、価値がなくなる可能性があることなどにも触れ、仮想通貨の「特殊な性質」を完全に理解しないまま利用しないよう消費者に注意を促した。

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仮想通貨をめぐっては、世界最大の取引地である中国で、中央銀行の中国人民銀行が今月初めに注意喚起を行ったほか、金融機関による取引の禁止を発表。仏中央銀行も同様の警告を発した。EBAは仮想通貨について、「あらゆる面から、さらに検証を進め、規制や監督をする必要があるか、それが可能かについて判断する」としている。

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