2013/12/16

競争法

J&Jとノバルティスに1600万ユーロの制裁、後発薬参入制限問題で

この記事の要約

欧州委員会は10日、製薬大手の米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)とスイスのノバルティスに対して、両社が結託してオランダの鎮痛薬市場での後発医薬品(ジェネリック薬)参入を不当に遅らせたとして、総額1,63 […]

欧州委員会は10日、製薬大手の米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)とスイスのノバルティスに対して、両社が結託してオランダの鎮痛薬市場での後発医薬品(ジェネリック薬)参入を不当に遅らせたとして、総額1,630万ユーロの制裁金支払いを命じた。後発薬をめぐる同様の問題でEUが制裁に踏み切るのは2件目となる。

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問題となっていたのは、J&Jが開発したフェンタニルを有効成分とする鎮痛薬。フェンタニルは麻薬成分で、これを使った鎮痛剤はがんなどに伴う強烈な慢性痛を和らげるために使われている。

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欧州委によると、ノバルティスのジェネリック薬部門サンドは、J&Jのオランダでの特許が切れた2005年にフェンタニルの後発薬を投入する予定で、包装も用意していた。しかし、J&Jのオランダ子会社であるヤンセン・シラグとサンドは同年7月、サンドがオランダでの後発薬販売を遅らせる見返りとして、ヤンセンが毎月、一定額の金銭を支払うという協定を締結。これによってサンドは、他社がフェンタニル後発薬を発売した2006年12月まで投入を先送りした。

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欧州委は不当な同協定によって、オランダのがん患者などが安価な後発薬を17カ月利用できなかったとして、J&Jに1,079万8,000ユーロ、ノバルティスに549万3,000ユーロの制裁金支払いを命じた。

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新薬を開発したメーカーが、代償を払って後発薬の投入を遅らせる問題をめぐっては、欧州委は6月、デンマーク製薬大手のルンドベックが複数のジェネリック薬メーカーと共謀し、同社の抗うつ剤「シタロプラム」の特許が失効してからも後発薬が出回るのを遅らせたとして、関係各社に1億4,600万ユーロの制裁金支払いを命じた例がある。

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ノバルティスとJ&Jは、欧州委の決定を不服とし、欧州司法裁判所に提訴する構えを示している。

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