住友商事は5日、カザフスタンにおけるレアアース(希土類)工場が稼動したと発表した。同国の原子力公社カザトンプロムと共同で実施するレアアース回収事業の一環で、日本のレアアース調達安定化に向けた第一歩として注目を集めている。
\生産事業を担当するのは住友商事とカザトンプロムの合弁会社、サミット・アトム・レアアース・カンパニー(サレコ)。北部ステプノゴルスクの工場で、まずはレアアース混合物を年間1,500トン生産する。来年1月から日本への出荷を開始する。
\同工場ではウラン鉱石の残渣(さ)からレアアースを抽出する。ハイブリッド車や電気自動車などに使われるジスプロシウムやネオジムを豊富に含んでいるのが特徴という。今後は信越化学と提携し、レアアース混合物から各元素を取り出す体制を構築する計画だ。
\レアアースはハイテク製品の生産に欠かせないが、その大半を中国からの供給に頼る。中国の輸出制限に伴い価格が高騰したため、産業界は他の供給源確保に向けて動き出している。カザフスタンのほか、ロシアにも注目が集まっている。(東欧経済ニュース2011年10月26日号「ロシアの希土類生産本格化、早くて10年後に」、2010年3月31日号「住友商事、カザフ国営公社と合弁設立」、2009年10月28日号「日系企業、レアメタルでカザフと関係強化」を参照)
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