2021/10/6

テクノロジー

ロシア政府、ソーシャルメディア監視ソフトを導入

この記事の要約

●「若者が自身や他者に危害を与えることを防ぐ目的」と説明●政府は「青少年保護」を理由にインターネットの監視を強化ロシア政府は4日、ソーシャルメディアを監視するソフトの運用を開始したと発表した。銃乱射事件が増加していること […]

●「若者が自身や他者に危害を与えることを防ぐ目的」と説明

●政府は「青少年保護」を理由にインターネットの監視を強化

ロシア政府は4日、ソーシャルメディアを監視するソフトの運用を開始したと発表した。銃乱射事件が増加していることを受けたもので、「若者が自身や他者に危害を与えることを防ぐ目的」と説明している。しかし、反対派からは政府と異なる意見を抑圧する手段になると批判の声が上がっている。

ロシア青少年問題庁によると、新しいソフトウエアは、「プーチン大統領の要請で2018年に設立された非政府組織(NGO)」である青少年環境研究ネットワーク監視センターが開発を担当した。「若年層における破壊的なサブカルチャーの広がりを早期に発見」するのがその役割だ。すでに運用が始まっており、「違法・反社会的行為を行う意図」が検出されると、警察へ情報が提供されるという。

また、同センターはこれとは別に、電気通信網やインターネットを監視する「エンジェル・デストラクティブ」というシステムも開発した。同システムが「青少年が命の危険を伴う行動を起こす」、あるいは、「悪い意味で深刻な逸脱状態にある」という情報を検出すると、当局が自動的に警報を受け取る仕組みだ。

人権保護団体ロスコムヴォボダの発起人で法律家のサルキス・ダルビニャン氏は、これらのシステムが「オンラインでの活動の抑圧を自動化するもので、言論の自由を大きく脅かす存在となる」と警鐘を鳴らしている。

ロシアでは銃の乱射事件が増えており、先月20日にはペルミ州立大学で18歳学生が6人を射殺する事件がおきたばかり。当局は、ロシアの若者が米国など外国における同様な事件をテレビやオンラインで見て影響を受けた結果だとしている。

現地経済紙の『RBC』はペルミの事件後の23日、政府が予防策として15億ルーブル強(1,700万ユーロ)を支出し、青少年環境研究ネットワーク監視センターに生徒の作文を分析するシステム開発を委託すると報じていた。このときも「危険かつ破壊的行動を起こしそうな」生徒を発見する目的とされた。

ロシア政府はここ数年、「青少年保護」を理由にインターネットの監視を強めており、世界のネットワークから遮断された国内ネットの構築を進めている。(1RUB=1.53JPY)