2010/7/19

産業・貿易

VAT還付請求の申請期限を半年延長、電子化対応の遅れを考慮

この記事の要約

欧州委員会は15日、EU域内の国境をまたぐ付加価値税(VAT)還付の制度に関連して、2009年分のVAT還付請求の申請期限を6カ月延長して2011年3月とする方針を発表した。EUでは今年1月の制度改正に伴い、域内の企業が […]

欧州委員会は15日、EU域内の国境をまたぐ付加価値税(VAT)還付の制度に関連して、2009年分のVAT還付請求の申請期限を6カ月延長して2011年3月とする方針を発表した。EUでは今年1月の制度改正に伴い、域内の企業が他のEU加盟国で発生したVATを取り戻すための手続きがすべて電子化されたが、多くの国で専用ポータルの運用開始が予定より遅れたうえ、技術面のトラブルが生じている現状を踏まえ、申請期限を延長して納税者が還付請求できない事態を防ぐ。

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EUは域内におけるサービス供給に関するルールを調和させる取り組みの一環として、08年2月にEU内の国境をまたぐサービス提供に係るVAT規定を大幅に改正する法案を採択した。これによって今年1月から他のEU加盟国で課されたVATの還付申請に関するルールが改正され、VATを納めた国にそれぞれ申請書とインボイスや請求書の原本を送る従来のシステムに代わり、登記した国のポータルから一括で還付申請できる仕組みに移行した。EU加盟国は今年1月から専用ポータルの運用を開始することが義務付けられていたが、国際VAT協会によると、1月時点で電子還付システムが完全に稼働していた国は27カ国のうち7カ国にとどまり、ポータル構築が5月中旬にずれ込んだケースもある。

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なお、申請還付のためのウェブポータルのデザインは各国政府に委ねられているが、欧州委はEU全体でVAT還付の迅速化を図るため、相互運用性の確保に向けて仕様を調整する可能性を示唆している。

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