2010/8/30

産業・貿易

ASEANとの関係強化へ「ビジネスサミット」、経済閣僚級会議で合意

この記事の要約

欧州委員会のデグフト委員(通商担当)は27日、ベトナムのダナンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)経済閣僚との会議に出席し、EUとASEANの関係強化に向けて2011年に産業界の代表らによる「ビジネスサミット」を開 […]

欧州委員会のデグフト委員(通商担当)は27日、ベトナムのダナンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)経済閣僚との会議に出席し、EUとASEANの関係強化に向けて2011年に産業界の代表らによる「ビジネスサミット」を開催することで合意した。一方、EUとASEAN諸国との自由貿易協定(FTA)に関して同委員は、すでに締結交渉を開始しているシンガポールついては来年末までの妥結を目指す姿勢を示し、ベトナムなど他の国とも早ければ年内に交渉入りできるとの見通しを明らかにした。

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今回の会議はASEANと日本や中国など周辺主要国の経済閣僚級会議に合わせて開かれた。デグフト委員は会見で「経済および政治面でASEANとの連携強化を望む欧州の意思を伝えるために会議に出席した。ASEANは世界で最もダイナミックな地域の1つであり、EUとASEANの貿易拡大が双方の市民にとって利益になる」と強調。2015年の「ASEAN経済共同体」の創設を視野に、同地域との関係強化を図りたい考えを示した。

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EUとASEAN(軍事政権下のミャンマーと、後発開発途上国に認定されているラオスとカンボジアを除く)は地域間のFTA締結を目指して07年5月に交渉を開始した。しかし、ASEAN加盟国の間で発展水準にばらつきがあることなどから交渉は難航し、双方は09年3月に締結交渉の中断で合意。EUはまずFTA締結に積極的な国と個別に交渉を進め、最終的に地域間協定の締結を目指す戦略に方針転換し、今年に入りシンガポールとの間で締結交渉を開始した。デグフト委員は「シンガポールとの交渉はうまくいっている。来年末までに妥結できると期待している」と発言。ベトナムとも年内に交渉入りできるとの見通しを示し、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンも交渉に前向きな姿勢を見せているとつけ加えた。

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ASEANにとってEUは中国に次ぐ第2の貿易相手地域であり、2009年の貿易額は1,180億ユーロに達した。また、ASEANへの投資額ではEUが全体の24.5%を占め、日本(15%)や米国(8%)を大きく引き離してトップに立っている。

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