2012/3/19

環境・通信・その他

アップルの電子書籍販売契約、欧州委が和解の可能性示唆

この記事の要約

米アップルと欧米の出版大手5社が結んだ電子書籍の販売契約がEU競争法に違反する疑いがあるとして、欧州委員会が調査を進めている問題で、同委のアルムニア委員(競争政策担当)は12日、出版社側が改善策を提示すれば和解交渉に応じ […]

米アップルと欧米の出版大手5社が結んだ電子書籍の販売契約がEU競争法に違反する疑いがあるとして、欧州委員会が調査を進めている問題で、同委のアルムニア委員(競争政策担当)は12日、出版社側が改善策を提示すれば和解交渉に応じる考えを示した。電子書籍の販売契約をめぐっては、米国でもアップルと出版5社に対する調査が行われており、ロイター通信が関係者の話として報じたところによると、すでに米当局と複数の出版社の間で和解に向けた話し合いが行われているという。

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欧米当局が問題にしているのは、アップルがタブレット型端末「iパッド(iPad)」の発売に合わせて電子書籍のオンライン配信サービス「iブックストア」を立ち上げた際に導入した「代理店契約」と呼ばれるビジネスモデル。従来は出版社が卸価格を設定し、書店が小売価格を決めるシステムが一般的だったが、アップルとの契約では出版社が電子書籍の小売価格を自由に設定し、売り上げの70%を出版社、30%をアップルが受け取る仕組みになっている。代理店契約では電子書籍の販売業者に価格決定権はないが、人気作品の販売権を得るため出版社との契約で同様のモデルを採用する動きが広がっており、欧州委は電子書籍ストア間の競争が不当に妨げられているとの見方を強めている。

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アルムニア委員は報道陣に対し、「出版社側で競争上のあらゆる懸念に対応する準備ができた場合にのみ、和解の余地が生まれる」と発言。米当局と密接に連携して慎重に調査を進めていると述べた。

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競争法違反の調査対象になっている出版社は仏アシェット・リーブル(親会社はラガルデール)、米ハーパー・コリンズ(同ニューズ・コーポレーション)、米サイモン&シュスター(同CBSコーポレーション)、英ペンギン(同ピアソン・グループ)、独ゲオルク・フォン・ホルツブリンク(英マクミラン・パブリッシャーズなどの親会社)。欧州委は昨年3月に電子書籍関連企業への立ち入り調査を実施するなど予備調査を進めた結果、アップルと5社の取り決めがカルテルや制限的商慣行を禁止したEU競争法に抵触するとの疑いを強め、昨年12月に本格調査を開始している。

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