2012/6/18

総合 –EUウオッチャー

伊政府が経済対策法案を閣議決定、政府系企業の売却や雇用促進策など柱

この記事の要約

イタリアのモンティ政権は15日、政府系企業の売却や中央省庁の人員削減などを柱とする財政再建計画と、持続的な成長を実現するための景気刺激策を盛り込んだ経済対策法案を閣議決定した。国有資産の売却や歳出の合理化を通じて財政赤字 […]

イタリアのモンティ政権は15日、政府系企業の売却や中央省庁の人員削減などを柱とする財政再建計画と、持続的な成長を実現するための景気刺激策を盛り込んだ経済対策法案を閣議決定した。国有資産の売却や歳出の合理化を通じて財政赤字削減を進める一方、緊縮策が実体経済に及ぼす影響を緩和して成長路線への転換を図るのが狙い。実施には60日以内に議会の承認を得る必要がある。

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伊政府は2013年の財政赤字解消を目標に掲げ、付加価値税(VAT)増税、年金制度改革、雇用規制の緩和などを推し進めている。しかし、景気後退が続く中で厳格な緊縮策に対する国民の不満が高まっており、モンティ政権は効率的な財政運営を通じた成長戦略に舵を切ることになる。

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計画によると、経済省は政府系企業3社を約100億ユーロで国営持ち株会社の預託貸付公庫(CDP)に売却し、初回支払い分として30日以内に60億ユーロを受け取る。また、50億ユーロの歳出削減計画の一環として、経済省と首相府の人員を大幅に削減する。政府系企業の売却益と人件費の削減分は国の債務返済などに充てる。

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一方、景気対策の柱として、エネルギー効率の改善を目的とした住居改築の奨励制度を導入する。また、雇用促進策の一環として、専門的な知識や技術を持つ技能労働者の雇用に積極的な企業に対する奨励金支給制度の導入も法案に盛り込まれている。

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このほかロイター通信が入手した内部資料によると、政府は最大45億ユーロ規模の不動産売却も計画しているもようだ。一方、経済省のグリリ次官は記者団に対し、現時点で石油大手エニ、電力大手エネル、防衛大手フィンメカニカの政府保有株を売却する計画はないことを明らかにした。

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