欧州環境庁(EEA)が7日公表した暫定報告書によると、EU27カ国における2011年の温室効果ガス排出量は前年比2.5%減となった。暖冬による暖房用燃料の需要縮小や再生可能エネルギーの利用拡大が排出削減につながり、石炭消費の拡大や生産活動の活発化に伴う排出量の増加を打ち消した。10年は経済危機に伴う生産活動の停滞で温室効果ガス排出量が大幅に減少した09年の反動で2.4%増となり、過去6年で初めて前年の水準を上回っていた。
\EEAによると、従来からのEU加盟15カ国では11年の総排出量が前年比3.5%減となった。15カ国は京都議定書で、08-12年に1990年比で8%の排出削減を求められているが、11年末時点で14.1%の削減を実現しており、目標達成はほぼ確実とみられている。一方、新規加盟国を加えたEU全体では11年末時点の総排出量が90年の水準を17.5%下回った。EUは20年までに域内における温室効果ガス排出量を90年比で20%削減する公約を掲げている。
\なお、カーボンシンクと呼ばれる森林などの炭素吸収源や京都メカニズムを通じた削減分と、航空機の国際線および船舶からの排出ガスは今回のデータに含まれていない。EEAは来年6月に11年の温室効果ガス排出量に関する最終報告をまとめる方針を示している。
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