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2014/9/24

企業情報

SAP―過去最大の買収、クラウド事業強化へ―

この記事の要約

企業向けソフト大手の独SAP(ヴァルドルフ)は18日、米同業コンカーを買収すると発表した。コンカーは出張管理・経費精算ソリューションをクラウドベースで提供しており、SAPは同社を傘下に収めることで自社のクラウド事業を強化 […]

企業向けソフト大手の独SAP(ヴァルドルフ)は18日、米同業コンカーを買収すると発表した。コンカーは出張管理・経費精算ソリューションをクラウドベースで提供しており、SAPは同社を傘下に収めることで自社のクラウド事業を強化する意向だ。買収価格は83億ドルで、同社史上最大となる。来春までの買収手続き終了を見込む。

コンカーを1株当たり129ドルで買収する。これは17日の終値を20%、過去1カ月間の加重平均株価を21%上回る水準。

コンカーは航空会社やホテル、クレジット会社、レンタカー会社など出張に関係する企業のサービスを一手に提供している。世界150カ国以上に計2万3,000強の顧客(企業や公共機関)を持ち、利用者数は年2,500万人に上る。従業員数は4,200人、売上高は7億ドル強。

SAPはコンカーを買収することでクラウドサービスを強化する。また、コンカーの顧客に占めるSAPソリューション利用者の割合が30%にとどまることから、今後は同ソリューションを利用していないコンカーの顧客に自社製品・サービスを売り込む意向だ。クラウドサービス利用者数は年5,000万人に拡大する見通し。

コンカーは米国顧客が全体の84%を占める。SAPの傘下に入ることで、今後は世界的に顧客基盤を拡充していく。出張予算が年150億ドルに上る米政府を顧客としているのはコンカーの強みで、同社のスティーブ・シン社長は「米国政府のニーズを満たせれば、世界のどんな政府のニーズでも満たすことができる」と述べ、事業の拡大に自信を示した。

SAPはクラウド事業で競合に後れを取ったため、大小の買収を通して追撃。今回の買収により、売上ベースで米セールスフォースに次ぐ世界2位に浮上する。

SAPの13年売上高(約170億ユーロ)に占めるクラウド事業の割合は4.5%だった。同社はこれを17年までに15%(売上高で35億ユーロ)へと引き上げる目標だ。