英自動車工業会(SMMT)は25日、同国の2020年8月の乗用車生産が5万1,039台にとどまり、前年同月に比べ44.6%減少したと発表した。新型コロナウイルスの影響により内外の需要が低迷しており、生産台数が大きく落ち込んでいる。1~8月の累計は、前年同期比40.2%減の51万8,092台となった。これにより英国の乗用車市場では95億ポンドを超える損失が生じている。
8月の生産台数は、国内向けが前年同月比58.3%減、輸出向けも41.1%減と大きく落ち込んだ。大幅な減少は、前年8月に生産台数が多かった反動もある。昨年は、3月31日に予定されていた英国の欧州連合(EU)離脱に備え、一部の工場が通常は夏季に実施している生産ラインの保守作業を4月に前倒ししたため、8月の稼働日が多くなっていた。
英国は現在、新型コロナウイルスの第2波への警戒に加え、欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)を締結できず12月末に合意なき離脱を迎える危機に直面している。SMMTによると、このような背景から、英国の2020年通期の乗用車生産は前年比34%減の88万5,000台弱に落ち込む見通し。また、このような状況から自動車生産が2025年までに危機以前の120万台に回復するためには、野心的で関税のかからないFTAの合意が必要であると指摘している。さらに、合意なき離脱に至った場合は、英国の乗用車生産が2025年までに75万台を割り込む恐れがあると予想している。
■ 商用車生産、8月は11.5%減
SMMTによると、同国の8月の商用車生産は前年同月比11.5%減の4,915台だった。国内向けは22.3%増加したものの、輸出向けが29.6%減と低迷した。1~8月の累計は前年同期比20.0%減の3万6,570台となった。
■ エンジン生産、8月は35.1%減
SMMTによると、同国の8月のエンジン生産は、前年同月比35.1%減の10万6,398基にとどまった。内訳は、国内向けが36.9%減の3万8,063基、輸出向けも34.1%減の6万8,335基と大きく落ち込んでいる。1~8月の累計は前年同期比35.2%減の109万7,732基だった。