2010/9/6

産業・貿易

仏政府が商品市場の規制強化を提唱、投機取引による価格変動を抑制

この記事の要約

フランス政府はこのほど欧州委員会に対し、エネルギー資源や穀物などの過度な価格変動を抑えるため、商品取引の監視強化に向けた新たな規制の導入を要請した。フランスは今年11月から主要20カ国・地域(G20)首脳会合の議長国を務 […]

フランス政府はこのほど欧州委員会に対し、エネルギー資源や穀物などの過度な価格変動を抑えるため、商品取引の監視強化に向けた新たな規制の導入を要請した。フランスは今年11月から主要20カ国・地域(G20)首脳会合の議長国を務めることになっており、経済・通貨政策や気候変動対策と並んで商品市場の監視強化を任期中の優先課題に挙げている。欧州委は仏政府の動きを受けて9月にも新たな規制案をまとめる方針を示している。

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欧州委に商品市場に対する規制強化を提唱したのはラガルド経済・財務・雇用相、ボルロー・エネルギー相、ルメール食料・農業・漁業相の3人。商品先物市場ではロシア政府が8月初め、干ばつで深刻な被害を受けた穀物の輸出を禁止したのを受けて小麦相場が2カ月前の2倍以上に上昇。こうした商品価格の乱高下は純粋な需給関係ではなく、投機目的の取引が最大の要因との批判がある。3閣僚は欧州委に宛てた8月27日付の書簡で「商品市場で投機的な動きが加速しており、現行ルールでは対応できない」と指摘。過度の投機を防ぐため、EUレベルで監視体制を強化する必要があると強調した。

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3閣僚は特に厳しく取引を監視すべき分野として原油、天然ガス、金属、農産物、二酸化炭素(CO2)排出権などを挙げ、市場参加者に取引状況の報告を義務付けることや、持ち高規制の導入などを提案している。さらにEUレベルで商品市場を監視する体制を整える必要があると指摘し、具体策として既存の金融監督機関の権限強化と、米商品先物取引委員会(CFTC)に匹敵する新たな監督機関の創設という2通りの選択肢を提示している。

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欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)はAFP通信に対し「欧州委員会はフランス政府が商品市場に対して抱いている懸念を100%共有している」とコメント。9月中に商品価格の乱高下を防ぐための新たな規制案を提示する考えを示した。

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