2010/9/6

産業・貿易

EUがパキスタン製品への関税優遇検討、洪水復興支援の一環で

この記事の要約

EUが大規模な洪水被害に見舞われているパキスタンへの支援策として、同国からの輸入品に対する関税優遇を検討している。主力産業である繊維業の輸出を伸ばすことで雇用を促進し、復興を支援するのが狙い。今週のEU外相理事会で協議さ […]

EUが大規模な洪水被害に見舞われているパキスタンへの支援策として、同国からの輸入品に対する関税優遇を検討している。主力産業である繊維業の輸出を伸ばすことで雇用を促進し、復興を支援するのが狙い。今週のEU外相理事会で協議される見通しだ。

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EUの動きは、パキスタンの要請に応じたもの。一般特恵関税の優遇制度である「GSPプラス」の適用が検討されている。パキスタンはこれまでにもEUに対して、輸入品に対する関税を一部免除するGSPプラス適用を求めたが、適用条件である国連人権条約の実施が不十分として認められなかった。パキスタンは今回の洪水被害は例外的状況で、繊維産業の活性化が復興に寄与するとして、特例的に適用を認めるよう要望している。

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EUで同支援の旗振り役はアシュトン外相(外交安全保障上級代表)。就任直後の1月に発生したハイチ大地震の際に迅速に支援を実施しなかったとして批判を浴びたことから、今回は汚名返上とばかりに、積極的に加盟国にGSPプラス適用を働きかけている。

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これをめぐっては、英フィナンシャル・タイムズによると英国、ドイツが適用を支持しているが、自国の繊維業が圧迫されることを恐れるイタリア、ポストがルなどの国々が反対に回る可能性がある。別の選択肢として、パキスタンからの輸入品の一部に絞って関税免除するという案も検討されているもようだが、この場合はインド、バングラディシュなどパキスタンの競合国が、差別的扱いとして世界貿易機関(WTO)に提訴し、阻止しようとすることが予想される。このため、最も現実的な案として、パキスタンにとって有利な品目を関税免除の対象に指定し、他の発展途上国とともに関税を優遇するという案が浮上しているという。

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