2010/9/13

産業・貿易

英バークレイズなど、銀行ストレステストで国債保有額を過少申告か

この記事の要約

欧州銀行監督委員会(CEBS)がEU域内の91銀行を対象に実施したストレステスト(健全性審査)をめぐり、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は7日、一部の銀行が国債保有額を実施より少なく申告していたとする独自の […]

欧州銀行監督委員会(CEBS)がEU域内の91銀行を対象に実施したストレステスト(健全性審査)をめぐり、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は7日、一部の銀行が国債保有額を実施より少なく申告していたとする独自の分析結果を報じた。7月に結果が公表された同テストでは、「資本不足」の恐れがあると認定された銀行が市場の予測を大幅に下回り、当初から査定基準の甘さを指摘する向きがあった。CEBSは8月末、銀行があらゆるシナリオを想定してより厳格なリスク管理を行うための新たな指針をまとめたが、市場からは査定基準そのものの見直しを求める声が高まる可能性もある。

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CEBSが公表したストレステストの結果によると、株価や国債相場が予想外に下落するなど厳しい市場環境に陥った場合、「資本不足」の恐れがあると認定された銀行は7行にとどまり、不足額は総額35億ユーロと査定された。アナリスト予想では10行以上が資本不足と認定され、不足額は最大750億ユーロに達するとの見方が有力だった。

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ストレステストでは3月31日時点でバランスシートに計上されている国債保有額の申告が義務付けられていたが、WSJのアナリストが開示されたデータを分析した結果、一部の銀行は特定の国の国債を除外したり、売り持ち分(ショートポジション)を差し引いて申告していることが分かった。同紙が過少申告の具体例として紹介しているのは英バークレイズと仏クレディ・アグリコルの2行。バークレイズの場合、売買目的で保有していたイタリア債とスペイン債の一部を「顧客企業や政府のための取引」と称し、国債保有額から除外して申告した。一方、クレディ・アグリコルは保険子会社が保有する国債を申告しなかった。

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今回のストレステストでは全体として情報開示が不十分なため、国債保有額を過小申告している銀行の数を把握することは不可能だが、国際決済銀行(BIS)のデータが1つの判断材料になりそうだ。WSJ紙が引用したBISのデータによると、フランスの金融機関は3月末時点で総額200億ユーロのギリシャ債と350億ユーロのスペイン債を保有していた。これに対し、調査対象となった4行(仏銀行の総資産の約80%を保有)が申告したギリシャ債とスペイン債の保有額はそれぞれ116億ユーロ、66億ユーロにとどまっている。

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