2010/9/13

環境・通信・その他

霊長類の実験使用を厳しく制限、欧州議会が法案可決

この記事の要約

欧州議会は8日の本会議で、霊長類を使った動物実験を厳しく制限する法案を可決した。とくにチンパンジー、ゴリラ、オランウータンなど大型類人猿については原則禁止となる。法案は加盟国の承認を経て近く成立する見込み。加盟国は成立か […]

欧州議会は8日の本会議で、霊長類を使った動物実験を厳しく制限する法案を可決した。とくにチンパンジー、ゴリラ、オランウータンなど大型類人猿については原則禁止となる。法案は加盟国の承認を経て近く成立する見込み。加盟国は成立から2年以内に新ルールに沿った国内法の整備を求められる。

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欧州委員会によると、EU域内では年間に約1,200万匹の動物が新薬開発などの科学的実験に使われている。うち霊長類の利用は1%に相当する1万2,000匹に上る。

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可決された法案では、大型類人猿は実験に使用することが原則として禁止されるが、これらの種族自体の存続が危ぶまれる事態や人間の生命を脅かす新たな疾病が発生した場合などは、加盟国の判断で例外的に実験への使用が認められる。小型のサルなど他の霊長類に関しては、アルツハイマー病、がんなど難病の治療薬開発に限って利用が認められるが、代替の実験方法がないことが立証されなければならない。

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さらに法案では、霊長類を実験に使う場合に、苦痛をできる限り軽減することが義務付けられる。動物実験を行う施設や動物を供給する業者は許可証取得を義務付けられる。各国政府は国内にある実験施設の少なくとも33%を抜き打ちも含めて立ち入り検査を行い、新ルールを順守しているかどうか監視することが求められる。

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EUでは化粧品開発での動物実験が2009年から原則禁止されている。新ルールの導入により、あらゆる分野で動物実験が厳しく制限されることになる。

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