2010/10/4

総合 –EUウオッチャー

「ユーロ防衛基金」の運用延長、独首相が反対表明

この記事の要約

ドイツのメルケル首相は9月28日、ドイツ産業連盟(BDI)で行った講演で、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う制度の運用延長に反対する意向を表明した。“救済”の延長は赤字が膨らんでいる国々が財政再建を怠りかね […]

ドイツのメルケル首相は9月28日、ドイツ産業連盟(BDI)で行った講演で、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う制度の運用延長に反対する意向を表明した。“救済”の延長は赤字が膨らんでいる国々が財政再建を怠りかねないという理由。同制度を予定通り3年間で終了させ、EUの財政規律を守らない国には制裁を強化するべきだとしている。

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「ユーロ防衛基金」とも呼ばれる総額7,500億ユーロ規模の同基金は、ギリシャ危機を教訓にEUが6月に創設したもので、EUが5,000億ユーロ、国際通貨基金(IMF)が2,500億ユーロを負担する。EU拠出分は、ユーロ圏各国の政府保証による総額4,400億ユーロ規模の「欧州金融安定基金(EFSF)」と、欧州委員会がEU予算を担保とする債券発行で資金を調達し、非ユーロ圏の加盟国を対象とする既存の緊急支援枠を600億ユーロ拡大してユーロ圏諸国も支援できるようにする制度の2本立てとなっている。

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同制度の運用期限は2013年6月末だが、EUでは将来新たに発生するユーロ圏の信用危機に備え、恒久的な支援基金を設置する構想が検討されている。しかし、メルケル首相は「基金を現在の形のまま単純に延長することにドイツは同意しない」と発言。「(EUの)財政規律を遵守しない国には、別の手法で対応するべきだ」と述べ、EUは財政規律の制裁規定を厳格に適用することで規律違反を抑えるべきとの考えを示した。

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ドイツが基金延長に反対する背景には、EUの中で同国がもっとも多くを拠出していることもあるとみられる。

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