2010/10/4

環境・通信・その他

ロマ送還は「EU法違反」、仏に国内法の整備要求=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は9月29日、フランス政府による少数民族ロマの送還措置が域内における「移動の自由」を定めたEU法に抵触しているとの見解をまとめ、仏政府に対し速やかに国内法の不備を是正するよう勧告した。10月15日までに関連法の […]

欧州委員会は9月29日、フランス政府による少数民族ロマの送還措置が域内における「移動の自由」を定めたEU法に抵触しているとの見解をまとめ、仏政府に対し速やかに国内法の不備を是正するよう勧告した。10月15日までに関連法の修正案と作業日程が提出されなかった場合、提訴を含む法的措置を取ると警告している。

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仏政府は7月に非定住者の暴動が発生したのを機に、国内の違法キャンプを撤去し、不法滞在者を出身国に送還する方針を発表。これまでに8,000人を超えるロマがルーマニアやブルガリアなどに送還されている。欧州委は当初、仏政府のロマ対応について合法性の判断を差し控える方針だったが、9月に入り警察当局にロマの違法キャンプを優先的に撤去するよう命じた内務省の文書が発覚したのを受けて調査を開始。人の移動の自由を定めた2004年のEU指令が国内法に十分反映されていないと結論づけた。ただし、送還措置がロマを標的にしたものかどうかに関しては、仏政府が少数民族の差別を禁止したEU法の完全な順守を確約した点などを考慮して判断を見送った。

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欧州委のレディング副委員長(司法・基本権・市民権担当)は「フランスは移動の自由を保障したEU法を適正に適用していないと判断し、是正手続きに入ることを決めた」と説明。その一方で「法的措置を取る前にフランスにチャンスを与える必要がある」と述べ、域内における移動の自由や人種・民族による差別の禁止を定めたEU 法の適用に問題がある他の加盟国に対しても、早急な是正を求める方針を示した。

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仏外務省は欧州委の決定を受け、「欧州委の指摘に対応するため必要なすべての措置を講じる」との声明を発表した。

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