2011/1/17

産業・貿易

今年上期に銀行ストレステスト実施へ、流動性不足のリスクも評価

この記事の要約

今月1日に発足したEUの銀行監督機関「欧州銀行監督機構(EBA)」は13日、今年上半期に域内の銀行に対する2回目の健全性審査(ストレステスト)を実施すると発表した。結果は今年半ばに公表される。昨夏の初回テストでは審査対象 […]

今月1日に発足したEUの銀行監督機関「欧州銀行監督機構(EBA)」は13日、今年上半期に域内の銀行に対する2回目の健全性審査(ストレステスト)を実施すると発表した。結果は今年半ばに公表される。昨夏の初回テストでは審査対象となった銀行のほとんどにお墨付きが与えられたが、アイルランドではその後に主要行が相次いで深刻な資本不足に陥り、信用不安が広がった。こうした反省を踏まえ、EBAはストレステストとは別に、流動性不足のリスクについても評価を行う方針を打ち出した。

\

発表によると、EBAはEU各国の監督当局、欧州中央銀行(ECB)、欧州委員会と連携してストレステストを実施する。審査対象は前回とほぼ同じで、審査方法も初回テストの手法が踏襲される。ただし、各行が十分な手元流動性を確保できているかどうかについても別途、審査を実施する。前回テストでは株価や国債相場が予想外に下落するなど厳しい市場環境に陥った場合、損失を吸収できる十分な資本水準を確保しているかどうかに重点が置かれ、流動性不足に伴うリスクは考慮されていなかった。市場では当初から査定基準の甘さを指摘する声があったが、テストに「合格」したアイルランドの主要行が相次いで深刻な資本不足に陥ったことで、審査基準を厳格化してストレステストの透明性を高めることが信用不安の緩和に不可欠との意見が広がっていた。

\

一方、欧州保険・年金監督機構(EIOPA)は同日、今年第2四半期に域内の保険会社に対するストレステストを実施する方針を明らかにした。EU各国で活動する保険会社のうち半数以上が審査の対象となる。審査方法など詳細は不明だ。

\