2011/5/23

環境・通信・その他

英政府が新たな温効ガス削減目標、「25年までに90年比50%減」

この記事の要約

英政府は17日、2025年までに温室効果ガス排出量を1990年の水準に比べて50%削減するとの目標を発表した。英国では昨年5月に産業界寄りの立場を取る保守党のキャメロン政権が発足し、環境政策への影響が注目されていたが、率 […]

英政府は17日、2025年までに温室効果ガス排出量を1990年の水準に比べて50%削減するとの目標を発表した。英国では昨年5月に産業界寄りの立場を取る保守党のキャメロン政権が発足し、環境政策への影響が注目されていたが、率先して厳しい削減目標を設定することでEUの温暖化対策を主導する狙いがあるとみられる。

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25年を達成期限とする新たな目標は、23-27年を対象とする「第4次カーボン・バジェット(炭素削減計画)」の柱となるもので、気候変動委員会の勧告に沿った内容。政権内部では高い削減目標を設定したいヒューン・エネルギー・気候変動相と、産業界への影響を懸念するケーブル民間企業・技術革新・技能相の間で対立が深まっていたが、最終的に「これまでで最も環境に配慮した政府」を目指すキャメロン首相が高い目標設定を支持したとされる。なお、第3次カーボン・バジェット(18-22年)では90年比35%の削減目標が設定されている。

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下院に計画案を提示したヒューン担当相は50%の削減目標について、「英国が産業構造の転換で世界の先頭に立ち、最も環境に配慮した政府を目指す姿勢を明確に示すものだ。さらに20年を達成期限とするEUの削減目標を90年比20%から30%に引き上げるための議論をリードすることができる」と強調。そのうえで、削減計画の進捗状況や他のEU諸国の取り組みを見極めて、14年初頭に目標の見直しを行う方針を示した。

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欧州委員会は英政府の決断を評価している。ヘデゴー委員(気候変動担当)は「英政府が野心的な目標を打ち出したことを歓迎する。厳しい経済状況にもかかわらず、環境重視の姿勢を貫こうとする強い意思の表れだ」とコメントした。

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