2012/5/21

欧州ビジネスウオッチ

ティッセンクルップ、南北アメリカ鉄鋼事業から撤退

この記事の要約

鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップは15日、南北アメリカ大陸の鉄鋼事業を売却または合弁化する方針を発表した。経済的な枠組み条件が変化したためとしている。ブラジルの粗鋼工場に27%出資する同国の資源大手ヴァーレに売却する […]

鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップは15日、南北アメリカ大陸の鉄鋼事業を売却または合弁化する方針を発表した。経済的な枠組み条件が変化したためとしている。ブラジルの粗鋼工場に27%出資する同国の資源大手ヴァーレに売却する方向で交渉を開始する。

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ティッセンクルップは2006年、ブラジルに粗鋼工場、米国にも圧延工場を建設することを決定した。米工場ではブラジルで生産した粗鋼を自動車用の高級鋼材などに加工。NAFTA(北米自由貿易協定)圏で拡大する需要を取り込む意向だった。

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だが、ブラジルの通貨高と鉄鉱石価格の高騰を受けてブラジル工場の採算が悪化。米国工場も自動車メーカー向けを除くと販売価格が低迷している。両工場の建設コストが当初見通しの30億ユーロから120億ユーロに膨らんだことも追い打ちとなっており、事業を継続する意義が低下していた。

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今回の方針表明を受け、市場には同社が中期的に欧州の鉄鋼事業からも撤退するとの観測が出ている。

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