2012/9/10

総合 –EUウオッチャー

ポルトガルが追加緊縮策発表、社会保険料引き上げなど

この記事の要約

ポルトガルのコエリョ首相は7日、労働者が負担する社会保険料の引き上げを柱とする追加の財政再建策を発表した。EUと国際通貨基金(IMF)による金融支援の条件となっている財政健全化を進めるための措置で、緊縮財政による税収の落 […]

ポルトガルのコエリョ首相は7日、労働者が負担する社会保険料の引き上げを柱とする追加の財政再建策を発表した。EUと国際通貨基金(IMF)による金融支援の条件となっている財政健全化を進めるための措置で、緊縮財政による税収の落ち込みを補うのが狙い。一方、15%を超える失業率を押し下げるため、企業の社会保険料負担は逆に引き下げられる。

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ポルトガルは12年に財政赤字を国内総生産(GDP)比4.5%、13年は3%以内に抑える目標を掲げているが、緊縮財政による景気の低迷で今年1-7月の税収が当初の予想を28億ユーロ以上下回った。このため政府は先月、今年度の財政赤字削減目標は達成が困難との見方を示し、追加の緊縮策について検討を進めていた。

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計画によると、2013年から社会保険料の労働者負担は給与の11%から18%に引き上げられる。一方、雇用を後押しするため、企業の保険料負担は現行の23.75%から18%に軽減される。今年度予算から導入された公務員と年金生活者を対象とする夏期及びクリスマス休暇手当の支給廃止に関しては、7月に憲法裁判所が「平等の原則に抵触する」として違憲判決を出したが、政府は改めて夏季またはクリスマス休暇手当のどちらか一方の支給を廃止する方針を打ち出した。このほか富裕層と大企業を対象とする増税も追加策に盛り込まれている。

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EUとIMFは昨年5月、ポルトガルに対する総額780億ユーロの金融支援を決定した。緊縮策を通じて財政健全化を図ることなどが支援の条件で、「トロイカ」と呼ばれるEU、IMF、欧州中央銀行(ECB)の3者による調査団が四半期ごとに財政再建の進捗状況を審査している。現在もトロイカによる現地調査が行われており、近く審査が終了する見通しだ。

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コエリョ首相は「2011年にポルトガルが陥った金融危機はまだ終わっていない」と強調。問題の解決に向けて一段の改革が必要と述べ、国民に理解を求めた。同首相はまた、ECBが6日の理事会で合意した財政難にある国の新たな国債買い入れ計画に関連して、「財政健全化に向けた調整が容易になる」と歓迎したうえで、ECBの支援で問題がすべて解決すると考えることは「大きな誤りだ」と指摘。財政赤字の削減に向けて一段の努力が必要と訴えた。

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