2012/11/5

産業・貿易

蘭社の遺伝子治療薬「Glybera」、欧州委が先進国で初の承認

この記事の要約

オランダのバイオテクノロジー企業uniQureは2日、同社が開発したリポタンパク質リパーゼ欠損症(LPLD)の遺伝子治療薬「Glybera」が欧州委員会に承認されたと発表した。先進国で遺伝子治療薬が正式に承認されたのは今 […]

オランダのバイオテクノロジー企業uniQureは2日、同社が開発したリポタンパク質リパーゼ欠損症(LPLD)の遺伝子治療薬「Glybera」が欧州委員会に承認されたと発表した。先進国で遺伝子治療薬が正式に承認されたのは今回が初めて。欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は欧州委に対し、今年7月にGlyberaの承認を勧告していた。早ければ2013年夏にもEU27カ国とアイスランドおよびノルウェーでGlyberaが発売される可能性がある。

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LPLDは血液中の脂肪を分解するリポタンパク質リパーゼ(LPL)と呼ばれる酵素の遺伝的な異常により、くり返し急性膵(すい)炎を引き起こす難病で、50万~100万人に1人の割合で発症するとされる。uniQureは20年以上におよぶ臨床試験を経て、ようやく欧州におけるGlyberaの販売認可を取得した。同社は今後、米国とカナダで同薬の承認申請を行う方針を示している。

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遺伝子治療をめぐっては、1990年に世界初となる重症複合免疫不全症(SCID)に対する遺伝子治療薬の臨床試験が行われ、多くのバイオ企業が相次いで同分野に参入した。中国では2003年、Shenzhen SiBiono GeneTech社の頭頸部がん治療薬「Gendicine」が遺伝子治療薬として世界で初めて国内での販売を認可された。しかし、SCID患者に対する臨床試験で99年に米国で死者が出たことや、2002年にフランスで白血病の発症が報告されたことなどから、欧米や日本などでは遺伝子治療に対する慎重論が根強く、これまで承認が見送られていた。

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