2013/1/14

産業・貿易

欧州委が鉄道自由化法案発表へ、19年までに国内旅客サービスを開放

この記事の要約

AFP通信によると、欧州委員会は今月中に域内鉄道市場の完全自由化に向けた新法案を発表するもようだ。2019年までに国内旅客輸送を開放して他国の事業者が参入できる条件を整え、完全自由化を実現するという内容。今月23日または […]

AFP通信によると、欧州委員会は今月中に域内鉄道市場の完全自由化に向けた新法案を発表するもようだ。2019年までに国内旅客輸送を開放して他国の事業者が参入できる条件を整え、完全自由化を実現するという内容。今月23日または30日の欧州委定例会議で6つの法案と2つの通達などから成るパッケージが採択される見通しという。

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EUは2000年代に入り、貨物輸送を先行させる形で段階的に鉄道輸送の市場開放に着手。2010年からは国際旅客サービスが自由化され、域内の主要都市を結ぶ高速鉄道を中心に各国の鉄道会社が相互に参入できるようになった。しかし、鉄道自由化をめぐっては、強力な国鉄労組を抱えるフランスやベルギーなどのほか、自国企業の競争力低下を懸念する中・東欧諸国で反対論が根強く、「最後の聖域」となっていた国内旅客サービスを17年までに開放する欧州委の構想は頓挫した経緯がある。

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AFPによると、新たな法案パッケージには国内旅客輸送の自由化に加え、各国の大手鉄道会社に対し、鉄道網や施設を管理するインフラ部門と運行を担当する輸送部門の分離を義務付けるルールが盛り込まれているもよう。ベルギーでは今月に入り、ベルギー国鉄(NMBS/SNCB)をインフラの保守・管理を行うインフラベル(Infrabel)と、旅客・貨物輸送を行うSNCBに再編する計画が正式に承認されており、欧州委にとっては追い風となりそうだ。ただ、ドイツ鉄道(DB)を擁するドイツは事業分離に最も強く抵抗するとみられ、同国と類似した鉄道システムを有するオーストリアをはじめ、ルクセンブルク、オランダ、チェコなどを味方につけて法案阻止に動く可能性もある。

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