2013/1/14

競争法

グーグルに検索結果表示の変更要求か、月内に改善策を最終提示

この記事の要約

インターネット検索市場における米グーグルの商慣行をめぐり、欧州委員会が競争法違反の疑いで調査を進めている問題で、同社に対し検索結果の表示方法を変更するよう命じる可能性が高まっている。グーグルの検索サービスをめぐっては、米 […]

インターネット検索市場における米グーグルの商慣行をめぐり、欧州委員会が競争法違反の疑いで調査を進めている問題で、同社に対し検索結果の表示方法を変更するよう命じる可能性が高まっている。グーグルの検索サービスをめぐっては、米国でも同様の調査が行われていたが、連邦取引委員会(FTC)は今月3日、反競争的行為を裏付ける証拠は見つからなかったとして同社に対する調査を終了している。しかし、欧州委はグーグルが検索市場における市場支配的地位を濫用してライバルを締め出そうとしているとの疑いを強めており、同社が今月中に提示する最終的な改善策の内容が注目される。

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欧州委は中小検索エンジンや米マイクロソフトの申し立てを受け、2010年11月からグーグルに対する調査を進めている。欧州委はこれまでの調査から、欧州の検索市場で90%のシェアを誇るグーグルが独占的な立場を利用して◇検索結果の表示で「Googleマップ」など自社サービスを優遇している◇競合サイトに投稿されたレストランや旅行などに関する口コミ情報を無断で掲載している◇広告事業に関するパートナーサイトとの契約によってライバルが市場から締め出されている◇契約上の制限によって広告主がキャンペーンの出稿先をライバルの検索エンジンに変更するのを阻止している――との見方を強め、同社に対して是正を求めている。グーグルは昨年7月に欧州委が指摘する「4つの懸念」に対応するための改善策を提示しており、一時は制裁回避に向けて大きく前進したとみられていた。

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欧州委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、「調査は継続中」と前置きしたうえで、「グーグルは自社サービスにトラフィックを誘導していると確信している」と発言。「同社は検索市場における独占的地位を利用しているだけでなく、濫用しているとの懸念を抱いている」と述べ、消費者の選択肢を狭め、ライバルからビジネス機会を奪う行為を容認することはできないと強調した。

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アルムニア氏は検索結果ページにおける自社サービスの扱いを最も問題視していることを明らかにし、「問題はアルゴリズムではなく、見せ方だ」と指摘。コンテンツへのラベル付けなどの措置を講じることで問題解決につながる可能性はあるとの考えを示した。

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米国での調査でも検索結果ページにおける自社サービスの優遇の有無が焦点の1つだった。FTCは最終的に、独禁法に抵触するような行為を裏付ける証拠はなかったと結論づけている。米当局との見解の相違についてアルムニア氏は、欧米間で市場支配的地位の濫用を認定するための法的基準が異なり、訴訟リスクとの関係で米国の方がよりハードルが高いことや、欧州では検索市場におけるグーグルのシェアが90%に上ることが主な理由と説明。広告サービスなど欧州委が問題視している他の点に関しても、厳しく改善を求めていく意向を示している。

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