2013/5/27

総合 –EUウオッチャー

アイスランド新政権、EU加盟交渉を凍結

この記事の要約

4月のアイスランド総選挙で勝利し、連立政権を組む保守派の独立党と進歩党は22日、EUとの加盟交渉を進めることの是非を問う国民投票を実施すると発表した。実施時期は未定だが、結果が出るまで加盟交渉は凍結する。同国は2010年 […]

4月のアイスランド総選挙で勝利し、連立政権を組む保守派の独立党と進歩党は22日、EUとの加盟交渉を進めることの是非を問う国民投票を実施すると発表した。実施時期は未定だが、結果が出るまで加盟交渉は凍結する。同国は2010年に加盟交渉を開始したが、世論は加盟反対に傾いており、加盟が見送られる可能性が出てきた。

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同方針は独立党と進歩党の連立合意に盛り込まれたもの。新政権はこれまでの加盟交渉の経緯に関する報告書をまとめ、議会で検討を加えた上で、国民投票を実施するとしている。

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アイスランドはEU加盟を避けてきたが、2008年の金融危機で大きな打撃を受けたことから、EUの傘に入って経済再建を進めることを決定。2010年6月に加盟交渉を開始した。同国は欧州経済地域(EEA)に参加し、すでに国内法とEU法の調和が進んでいることから交渉は順調に進み、35に上る交渉分野のうち、これまでに27分野で交渉を開始し、うち11分野が完了している。

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ここにきてEU加盟に懐疑的な方向に転じたのは、金融危機がほぼ終息し、EUの支援を受けずに経済再建を進めるめどが立った一方で、EUが南欧諸国の債務危機に直面していることが大きい。国内ではアイスランド経済の柱である漁業の統制権を失ってまでEU入りする意味はないとする考えが広がっており、世論調査では大多数が加盟に反対している。

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4月27日の総選挙では、EU加盟を推進してきた与党の社会民主同盟が大敗し、加盟に批判的な独立党と進歩党が過半数の議席を獲得。両党は22日に連立政権樹立で合意し、新政権が23日に発足した。

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