2013/6/3

総合 –EUウオッチャー

独仏首脳がユーロ圏専任議長創設で合意、EU首脳会議で提案へ

この記事の要約

フランスのオランド大統領とドイツのメルケル首相は5月30日、パリで会談し、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)に専任の議長職を設けることなどで合意した。債務危機が長期化するなか、ユーロ圏諸国の結束を強め、幅広い分野で連携 […]

フランスのオランド大統領とドイツのメルケル首相は5月30日、パリで会談し、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)に専任の議長職を設けることなどで合意した。債務危機が長期化するなか、ユーロ圏諸国の結束を強め、幅広い分野で連携しやすい体制を整えるのが狙い。6月下旬のEU首脳会議に共同提案する。

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ユーログループではユーロ圏17カ国の財務相の1人が議長を兼任しており、現在はオランダのデイセルブルム氏が務めている。独仏首脳は長引く債務危機から脱却するには「迅速に意思決定できる仕組みが必要」(メルケル首相)との認識で一致。オランド大統領は「より強い権限を持つ専任の議長職を置き、財務相会合も頻繁に開いて、雇用政策などを含む幅広い経済政策で協調体制を強化する」と説明した。

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ただ、加盟国の間では政策決定の権限を失うことへの警戒感が根強く、専任議長を置く案が支持されるかどうかは不透明。現議長のデイセルブルム氏はロイター通信に対し、「ユーログループは現行システムの下で機能している」と述べ、任期が満了する14年末までは議長職を務める意向を示した。

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両首脳はこのほか、南欧諸国を中心に深刻化する若年層の失業問題に対応するため、EU予算から総額60億ユーロを拠出する計画の前倒し実施を首脳会議で提案することでも合意した。EU加盟国は2014-20年にかけて段階的に拠出する計画を承認しているが、両首脳は一刻も早く有効な対策を講じる必要があるとして、向こう2年間に集中的に資金支援を行うべきだと強調している。

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一方、欧州委員会が前日にフランスに対し、EUの定める財政健全化目標の達成期限を2年延長することを認めた決定をめぐり、メルケル首相は「欧州委の判断を支持する」と表明。そのうえで、「時間的猶予には改革が伴わなければならない」と述べ、競争力を強化することで雇用を拡大し、財政赤字も圧縮することができるとの考えを示した。

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