2013/6/10

環境・通信・その他

エネルギー税指令改正案、議長国が炭素税の最低税率引き下げを提案へ

この記事の要約

欧州委員会が2011年に打ち出したエネルギー税指令の改正案をめぐり、新たに導入が見込まれる炭素税について、加盟国から最低税率の引き下げを求める動きが出ているもようだ。EU議長国アイルランドが今月末の担当相会議に向けて作成 […]

欧州委員会が2011年に打ち出したエネルギー税指令の改正案をめぐり、新たに導入が見込まれる炭素税について、加盟国から最低税率の引き下げを求める動きが出ているもようだ。EU議長国アイルランドが今月末の担当相会議に向けて作成した5日付の報告書をブルームバーグ通信が入手し、修正案の内容を報じている。欧州委は温暖化対策を強化するため、当初は2013年の新ルール導入を目指していたが、税制改正には加盟国による全会一致の承認が必要なため、調整は難航が予想される。

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炭素税は炭素の含有量に応じて石炭・石油・天然ガスなどに課税するシステムで、化石燃料や化石燃料を利用した製品の価格を引き上げて需要を抑制し、二酸化炭素(CO2)排出削減を目指す政策手段。北欧諸国など一部の加盟国では1990年代から炭素税が導入されているが、課税対象や税率は国によってばらつきがある。欧州委はEUが掲げるエネルギー効率と温室効果ガス削減の数値目標を達成するため、排出量取引制度を補完する政策の柱としてEUレベルで炭素税を導入する必要があると判断。加盟国が従来、ガソリンなどの化石燃料に課してきた税金について、CO2排出量に応じて課税する炭素税と、熱量に基づくエネルギー税の二本立てとし、それぞれEU共通の最低税率を設定する構想を打ち出した。

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欧州委の提案によると、炭素税はガソリン、軽油、天然ガスなどが対象で、13年からCO2排出量1トンにつき最低20ユーロが課税される。ただし、排出量取引制度に参加している企業は課税対象から除外される。一方、エネルギー税は輸送燃料と暖房用燃料に分けてそれぞれ最低税率が設定され、輸送燃料は18年までに熱量1ギガジュール当たり9.6ユーロ、暖房用は同0.15ユーロが課税される。

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ブルームバーグによると、アイルランドがまとめた修正案は炭素税の最低税率をCO2排出量1トン当たり12ユーロとし、24年までに段階的に20ユーロまで引き上げるという内容。一方、エネルギー税については税率を物価上昇率に連動させることを提案している。

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