2013/7/22

産業・貿易

モンサント、GM作物認可申請を撤回

この記事の要約

米農業バイオ技術大手モンサントは17日、EUで遺伝子組み換え(GM)作物の栽培認可を得るための承認申請をすべて撤回する方針を明らかにした。EU内では伝統的にGM作物に対する懐疑論が根強く、欧州委員会は今年1月から栽培認可 […]

米農業バイオ技術大手モンサントは17日、EUで遺伝子組み換え(GM)作物の栽培認可を得るための承認申請をすべて撤回する方針を明らかにした。EU内では伝統的にGM作物に対する懐疑論が根強く、欧州委員会は今年1月から栽培認可の承認手続きを凍結している。モンサントはこうした情勢を踏まえ、仮に新種の栽培が認可された場合でも実際には商業栽培につながらない可能性が高いと判断した。

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モンサント欧州部門のマニュエル・マデロ社長兼マネージングディレクターは複数のメディアの取材に対し、「数カ月以内に栽培認可の申請を取り下げる」と明言。欧州では今後、従来型の種苗ビジネスと、米国や南アフリカなどで栽培されている幅広いGM作物の輸入認可の取得に力を入れる意向を示した。

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モンサントが欧州委に栽培認可を申請しているのはトウモロコシ5品種と、大豆とテンサイがそれぞれ1品種ずつ。同社はこれら7件の承認申請をすべて取り下げる。なお、独化学大手BASFのGMジャガイモ「アムフローラ」と並んでEU域内での栽培が認められているGMトウモロコシ「MON810」に関しては、認可更新の手続きを進めるとしている。MON810は1998年に10年間の期限付きで栽培が認可されたが、実際には商業栽培が進んでおらず、モンサントは07年に認可更新を申請したものの、承認手続きは実質的に凍結されている。

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EU内では現在もGM作物をめぐる意見対立が続いており、EUが認可した品種に対する実際の対応も国によってばらつきがある。フランス、ドイツ、イタリアなど多くの国が独自の判断でGM作物の栽培を禁止しており、MON810が栽培されているのはスペインとポルトガルの2カ国にとどまっている。

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