ウクライナで28日行われた最高議会選挙(定数450名)で、ヤヌコビッチ大統領の地域党が第1党となり、共産党との連立を継続できることが確実となっている。野党陣営も合わせて40%以上を得票するなど健闘したが、定数の半分が選出される小選挙区では地域党が優位に立つ予測だ。焦点は、与党連合が大統領選挙制度改定に必要な3分の2の議席を確保できるかどうかにある。
\中央選挙管理委員会の発表によると、開票率90%時点で各党の得票率は地域党が31%、ティモシェンコ連合が24%強、共産党が14%弱、ボクシング世界チャンピオンのヴィタリ・クリチコ氏の新党「ウクライナ民主同盟(UDAR)」が13.5%、民族主義政党の自由党が9.8%となっている。投票率は58%。専門家らは、自由党の議会入りや共産党の得票アップを、有権者の「急進化」を示すものとみている。
\ティモシェンコ連合とUDARは28日夕、提携する方針を発表。ティモシェンコ連合は選挙前に自由党とも協力で合意しており、野党がいかに力を合わせていけるかが今後の政局に影響を与えそうだ。
\ \■選挙違反が増加
\ \旧ソ連や中・東欧の選挙監視団体の連合体Enemoによると、今回の選挙では、2010年の大統領選、2007年の最高議会選に比べて選挙法違反が増えた。有権者が2回投票したり、違反を指摘した中立機関の監視人が投票所から追い出されたケースも複数認められた。
\また、数日前から在宅選挙の許可申請が急増した。中立監視人の目が届かない自宅での選挙は有権者が圧力にさらされやすい問題がある。
\欧州安全保障協力機構(OSCE)の選挙監視団も、選挙の公正さの点で以前の選挙から後退したと結論付けた。政府が選挙戦で行政権力を乱用したほか、政党の選挙運動資金の流れが不透明であり、メディア報道も不公平だったとした。また、最大野党の代表的政治家であるティモシェンコ前首相とルツェンコ前内相の立候補が許されなかったことも問題点として指摘した。
\野党側は小選挙区での結果を中心に、個々の選挙結果の無効を訴えていく構えだ。当局は野党側の動きを警戒して、すでに11月12日までキエフにおけるデモを禁止している。
\ヤヌコビッチ大統領は2010年の大統領選の直後から今回の最高議会選での勝利に向けて準備を重ねてきた。ティモシェンコ前首相とルツェンコ前内相の逮捕・投獄を皮切りに、昨年秋には選挙法を改正して比例代表区・小選挙区並立制を復活させた。
\選挙区は与党候補に有利な形で線引きされたほか、野党の有力候補に対して税務調査や刑事事件の被疑者として告訴するなどの妨害行為がみられた。
\地域党の支持基盤が弱い地域では無所属候補を立て、選挙後に入党させる方向だ。
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