2014/11/26

総合・マクロ

スイスのクレシュ、クロアチア石油大手INAの買収を検討

この記事の要約

石油、金属、化学関連製品の製造・販売を行うスイスのクレシュ・グループがクロアチア最大の石油精製会社INAの買収を検討していることがわかった。ブルームバーグが19日、関係者の話として報じた。 米国の実業家ゲイリー・クレシュ […]

石油、金属、化学関連製品の製造・販売を行うスイスのクレシュ・グループがクロアチア最大の石油精製会社INAの買収を検討していることがわかった。ブルームバーグが19日、関係者の話として報じた。

米国の実業家ゲイリー・クレシュ氏をオーナーとする同グループは、INAの主要株主であるハンガリーのエネルギー最大手MOLから同社の株式の49.1%を買い取る意向を示しているもようだ。一方、MOLのヨーゼフ・シモラ最高執行責任者(CFO)は、MOLはINAの主要株主としての地位を保持すべきだとの考えを示し、売却に応じない意向を表明した。

INAの株式の44.8%を保有するクロアチア政府は、2009年にMOLが取得した経営権を取り戻したい考えだ。同国のヴルドリャク経済相は4日、MOLとの共同経営案が採用されない場合には、MOLが保有する株式を買い戻し第三者に売却することもありうるとの考えを示した。

INAの売却をめぐってはクロアチアのサナデル元首相が収賄容疑で逮捕されるなど問題が発生していた。クレシュによる買収が実現すれば、INAの経営権をめぐるMOLとクロアチア政府の3年に渡る交渉に終止符が打たれる可能性がある。

クレシュ氏は9月に欧州の製油所を5~6カ所ほど買収する意向を表明していた。米国系のクレシュが今回の買収劇に登場してきた背景には、ロシアのエネルギー大手ガスプロムとロスネフチがINAに関心を示していることを警戒する米国政府の意向があると見られている。

(東欧経済ニュース2014年4月7日号「ハンガリー石油大手のトップを起訴

クロアチア当局、株取引めぐる贈賄で」、東欧経済ニュース2014年1月22日号掲載「クロアチア、INA経営権めぐりMOLを提訴」を参照)