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2020/2/26

総合 - ドイツ経済ニュース

独経済停滞見通し、エネルギー価格の上昇は経営のリスク要因に

この記事の要約

今後1年間の事業見通しを「良い」とする回答は2ポイント増の18%、「悪い」は3ポイント減の20%で、DIはマイナス7ポイントからマイナス2ポイントへと5ポイント改善した。

製造業はマイナス15ポイントからマイナス5ポイントへと10ポイント改善した。

「減る」が8ポイント減の23%へと縮小したことから、DIは前回のマイナス12ポイントから0ポイントへと大幅に改善した。

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は19日発表した企業景気アンケート調査レポートのなかで、2020年の国内総生産(GDP)が前年比で実質0.7%増となり、昨年に引き続き低成長にとどまるとの予測を示した。米中の通商紛争が両国の「第一段合意」で緩和されたり、英国の合意なき欧州連合(EU)離脱が回避されるなど、今年に入って明るい材料が出てきたものの、これらの問題は根本的には解決されていないうえ、中国を中心に流行する新型肺炎は新たな影を落としている。今年は営業日数が昨年より4日多いなど特殊要因でGDPが約0.5ポイント押し上げられることから、そうした要因を除いたベースでは成長率が0.2%程度に落ち込む見通しで、マルティン・ヴァンスレーベン専務理事は「真の成長とは言えない」と厳しい認識を示した。

DIHKは毎年3回(年初、初夏、秋)、会員企業を対象に大規模な景気アンケート調査を行っており、今回の年初調査では約2万6,000社から回答を得た。業種別の内訳は製造が28%、建設が7%、流通が22%、サービスが43%となっている。

それによると、事業の現状を「良い」とする回答の割合は前回調査(秋)の41%から42%へと増加。「悪い」が11%から12%へと増えたことから、「良い」と「悪い」の差(DI)は横ばいの30ポイントとなった。DIは流通とサービス業でやや改善。建設業は悪化した。製造業(横ばい)は4業界で最も低い16ポイントにとどまった。

今後1年間の事業見通しを「良い」とする回答は2ポイント増の18%、「悪い」は3ポイント減の20%で、DIはマイナス7ポイントからマイナス2ポイントへと5ポイント改善した。DIはサービスを除く3業界でマイナスにとどまったものの、マイナス幅はすべて縮小。製造業はマイナス15ポイントからマイナス5ポイントへと10ポイント改善した。

メーカーを対象に今後1年間の輸出見通しを尋ねた質問では、輸出が「増える」との回答が前回を4ポイント上回る23%へと増加。「減る」が8ポイント減の23%へと縮小したことから、DIは前回のマイナス12ポイントから0ポイントへと大幅に改善した。部門別では消費財が8ポイント増の13ポイントと全体をけん引した。中間財は14ポイント増のマイナス3ポイント、投資財は10ポイント増のマイナス3ポイントと改善幅がともに2ケタ台に上っている。

メーカーを対象に事業のリスク要因を尋ねた質問では、「外需(の減少)」との回答が50%から46%へと低下した。ただ、水準自体は依然として高い。「エネルギー・原料価格(の上昇)」は32%から35%へと拡大した。政府が温暖化対策として石炭発電の全廃や二酸化炭素(CO2)の有償化方針を打ち出していることが響いた格好だ。「経済政策的な枠組み条件」も45%から46%へと増加し、過去最高を更新した。政府の温暖化対策のほか、米中の通商摩擦、EUと英国の通商交渉などが影を落としている。「専門人材不足」は56%から55%へと減少したものの、水準自体はなおも高い。

今後1年間の投資額を「増やす」との回答は1ポイント増の27%にとどまった。「減らす」は横ばいの21%となり、増加に歯止めがかかったものの、先行き不透明感が強いことから投資を見合わせる動きは依然として強い。この事情は雇用計画にも当てはまる。