2010/6/28

総合 –EUウオッチャー

「欧州対外活動庁」発足へ前進、EU主要機関が政治合意

この記事の要約

アシュトンEU外交安全保障上級代表(EU外相)とEU議長国スペイン、欧州委員会、欧州議会の代表は21日、EUの「外務省」に当たる「欧州対外活動庁(EAS)」の設立案について協議し、「政治的な合意」に達したとする共同声明を […]

アシュトンEU外交安全保障上級代表(EU外相)とEU議長国スペイン、欧州委員会、欧州議会の代表は21日、EUの「外務省」に当たる「欧州対外活動庁(EAS)」の設立案について協議し、「政治的な合意」に達したとする共同声明を発表した。これにより難航していたEAS設立に向けた調整が大きな関門を突破し、発足に大きく近づいた。

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EASは、昨年12月に発効したEU新基本条約「リスボン条約」にEU機構改革の一環として盛り込まれた新設機関。同じくリスボン条約によって創設されたEU外相を補佐する組織で、数千人のスタッフを擁する。EUとして一枚岩ではなかった外交政策を加盟国と協力しながら一体となって推進するのが狙いだ。

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同機関の設立には、初代外相のアシュトン氏の提案を加盟国、欧州議会、欧州委員会が承認することが必要。これまで具体的な権限や機能、予算をめぐる調整が難航し、発足がずれ込んでいる。今回の合意の詳細は不明だが、大きな焦点となっている予算について、編成権の自由を求めていたアシュトン外相が、介入を求める欧州議会に譲歩し、対外援助など活動予算については欧州議会が欧州委とともに一定の承認権を持ち、EAS運営予算については独立性を認める方向で歩み寄ったもようだ。 

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これを受けて、欧州議会、欧州委、欧州理事会(加盟国)の各機関が合意内容を持ち帰って協議し、それぞれ承認を求める。アシュトン外相は今後のスケジュールに関して、各機関が7月に設立案を承認し、今秋にはEASが始動するとの見通しを示している。

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