2010/6/28

産業・貿易

EU・米が第2段階の航空自由化協定調印、過半出資が可能に

この記事の要約

EUと米国は25日、大西洋路線の自由化促進を目指す航空自由化(オープンスカイ)協定を拡大し、航空会社に対する外資の出資規制を緩和することで合意した。米議会および欧州議会の承認と、EU加盟国の批准を経て新協定が発効する。実 […]

EUと米国は25日、大西洋路線の自由化促進を目指す航空自由化(オープンスカイ)協定を拡大し、航空会社に対する外資の出資規制を緩和することで合意した。米議会および欧州議会の承認と、EU加盟国の批准を経て新協定が発効する。実際の規制緩和にはEU・米双方で関連法を整備する必要があるが、実現すれば双方の航空会社は相互に過半数株を取得できるようになり、航空業界で一気に再編が進む可能性もある。

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欧州委のカラス副委員長(運輸担当)、EU議長国スペインのブランコ公共事業・運輸相、米国のストローム駐ルクセンブルク大使およびEU各国の運輸相がルクセンブルクで協定に調印した。欧州委員会は2008年に発効した現行協定および今回の新協定が完全実施された場合、120億ユーロの経済効果と最大8万人の雇用が生まれると予測している。

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カラス副委員長は声明で「第2段階の協定がもたらす新たなビジネス機会の利益を享受するすべての乗客、航空会社、空港関係者にとってEUと米国の合意は朗報だ。新協定は厳しい経営環境に置かれている欧州航空業界が浮上するのを後押しするだろう」と述べた。

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EUと米国は07年、それまでEU加盟国と米国が個別に結んでいた2国間協定に代わるオープンスカイ協定に合意。欧米の航空会社はEU域内と米国を結ぶ路線を原則として自由に開設できるようになった。しかし、EUが求めていた航空会社に対する出資規制の緩和については外資による自国企業の買収を警戒する米議会の反発などで合意に至らず、08年3月の協定発効後に第2段階の自由化に向けた交渉がスタートした。

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現在、航空会社に対する外資の出資上限は米国側が議決権の25%、EU側が49%に制限されているが、新協定が発効すると相互に過半出資が可能になる。また、EUと米国は最終的に国内線を含めた航空市場の完全自由化を目指す方針を確認し、1年ごとに進捗状況を見直すことで合意した。さらに航空機の温室効果ガス排出規制をはじめとする温暖化対策や騒音対策など、環境面のルールを調和させて効率的な規制の実現を目指すことや、テロ防止のための安全対策や航空管制などの分野で協力関係を強化することなどが新協定に盛り込まれている。

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