2010/10/11

産業・貿易

EUが対韓FTAに正式署名、マレーシアとの交渉開始も発表

この記事の要約

EUと韓国は6日にブリュッセルで首脳会議を開き、自由貿易協定(FTA)に正式署名した。欧州議会と韓国議会の批准を経て来年7月に発効する予定だ。同協定にはイタリアが自国の自動車産業への打撃を懸念して反対していたが、発効時期 […]

EUと韓国は6日にブリュッセルで首脳会議を開き、自由貿易協定(FTA)に正式署名した。欧州議会と韓国議会の批准を経て来年7月に発効する予定だ。同協定にはイタリアが自国の自動車産業への打撃を懸念して反対していたが、発効時期を当初予定より半年先延ばしすることで妥協していた。

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欧州委員会のバローゾ委員長は「EUがこれまでに結んだ貿易協定の中で最も重要なもの」と評し、ファンロンパイEU大統領も「貿易自由化が世界経済の回復の重要な要素であることを明確に示すもの」と語った。

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協定により5年以内に工業製品と農業製品の98.7%について双方の関税が撤廃される。ただ、韓国製小型車の大量輸入を懸念するイタリアの同意を取り付けるため、小型車などの輸入が急増した場合に関税を元の水準まで引き上げる「セーフガード(緊急輸入制限措置)」を発動することを明示した。しかし、2009年にEUの韓国車の輸入が30万3,205台だったのに対して欧州車の韓国への輸出は4万97台にとどまっていることから欧州の自動車業界では協定に対する反発が根強く、批准を控えた欧州議会に対して効果的な追加措置を求めている。

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EUはアジア各国を中心にFTAの締結を加速させており、インドとは年内妥結を目指しているほかシンガポールやベトナムとの交渉開始を決定。また6日にはバローゾ委員長とマレーシアのナジブ首相が、FTA締結に向けた交渉開始を発表している。交渉には1年半から2年間を要するという。マレーシアにとってEUは4番目の貿易相手で、2009年の双方の貿易総額は230億ユーロに上る。

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なお4日に行われたファンロンパイ大統領、バローゾ委員長と日本の管直人首相の会談でも、EUと日本のFTA締結に向けた交渉入りを検討することで意見が一致した。EUと韓国のFTA締結で危機感を募らせる日本は、来年4月か5月に開かれるEU・日本首脳会議で正式な交渉開始を期待している。なお双方の2009年の貿易総額は900億ユーロだが、貿易額は減少傾向にある。

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