2010/10/11

環境・通信・その他

バイクの事故防止と大気汚染軽減へ、欧州委が新ルール提案

この記事の要約

欧州委員会は4日、EU域内におけるオートバイによる事故と大気汚染を減らすための法案を発表した。域内で販売される新車に最先端のブレーキシステムの搭載を義務づけることや、窒素酸化物をはじめとする有害物質の排出規制の導入を柱と […]

欧州委員会は4日、EU域内におけるオートバイによる事故と大気汚染を減らすための法案を発表した。域内で販売される新車に最先端のブレーキシステムの搭載を義務づけることや、窒素酸化物をはじめとする有害物質の排出規制の導入を柱とする内容。EU加盟国と欧州議会の承認を経て2013年1月の新ルール導入を目指す。

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欧州委によると、EU内での交通事故による死者数はこのところ減少傾向にあるものの、オートバイによる死亡事故は横ばい状態が続いており、2008年は5,500人が命を失った。新ルールによると、各メーカーは13年以降、域内で販売されるオートバイ(モペットや三輪車などを含む)の新車にアンチロックブレーキシステム(ABS)を搭載することが義務付けられる。通常は急ブレーキをかけると車輪がロックして横滑りを起こすが、ABSの導入により急ブレーキ時でも操縦の安定性が維持される。さらに同年からヘッドライト自動点灯システムの搭載も義務化される。欧州委はこのほか、オートバイの最高出力を制限する方向で検討を進めていたが、メーカー側の強い反対で規制が見送られた。

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一方、大気汚染の軽減策として、各メーカーは14年から段階的に窒素酸化物や炭化水素の排出削減を義務付けられる。二酸化炭素(CO2)については当面、排出量の上限設定は見送られるが、欧州委は代わりに13年からモデルごとにCO2排出量と燃費を公表するよう求めている。

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欧州では約15万人がオートバイ産業に従事しているが、自動車産業と同様、世界的な経済危機で深刻な打撃を受け、販売台数は危機以前の3分の2程度にとどまっている。このため欧州二輪車工業会(ACEM)は、メーカーに多額のコスト負担を強いる規制の導入を急ぐべきではないと欧州委をけん制していた。ピーラー会長は法案について「競争力の強化に主眼を置いた提案がなされるべきだった」とコメントしている。

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