欧州委員会は4月18日、第2世代(2G)および第3世代(3G)携帯電話サービスが使用している900MHzおよび1,800MHzの周波数帯を、新たに第4世代(4G)の無線技術に開放する方針を正式に決めた。EU加盟国は異なる無線方式の電波による干渉を防ぐための技術ルールを定めた欧州委の「決定」に沿って国内法を整備し、2011年末までに両帯域を開放することが義務付けられる。
\EUは昨年まとめた情報通信技術(ICT)分野の新戦略「デジタルアジェンダ」の中で、13年までにEU全域でブロードバンド接続サービスの100%普及を実現し、20年までにすべてのEU市民が通信速度30メガビット/秒(Mbps)以上の高速ブロードバンド接続サービスを利用できるようにするという目標を掲げている。欧州委は高速無線通信(ワイヤレスブロードバンド)サービスの普及が公約実現の鍵を握るとの認識に立ち、高速次世代モバイルネットワークを実現するための先端技術である「LTE」や「WiMAX」などの無線方式を、「UMTS」や「GSM」といった3Gおよび2Gの規格と共存させるためのルール作りを進めていた。
\EUは09年、モバイルサービス向けの無線周波数管理に関するルールを定めた1987年の指令(通称GSM指令)を改正し、それまでGSMが独占的に使用していた900MHzの周波数帯をUMTSなどの3G規格に開放した。GSM指令の改正に向けた技術調査を通じ、4Gの無線技術であるLTEやWiMAXがUMTSなど既存のモバイル規格と同一周波数帯で共存可能であることが確認され、900MHzおよび1,800MHzと隣接する周波数帯を使用する鉄道や航空管制システムへの干渉を防ぐための技術条件も特定されている。欧州委のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は声明で「今回の決定によって4Gモバイルサービスの通信システムが必要とする周波数にアクセスできるようになり、高速ブロードバンドサービスの普及に弾みがつく」とコメントしている。
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