欧州委員会は10日、一般特恵関税(GSP)の適用対象の国・地域を現在の176カ国から80カ国に削減する方針を発表した。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)など急成長を遂げる新興経済国を対象から外すもので、欧州議会と閣僚理事会の承認を経て2014年1月からの施行を目指す。
\GSPは開発途上国の経済発展を支援するため、対象国からの輸入品に一般よりも低い関税率を適用する制度。EUのGSPによる輸入額は2009年に600億ユーロと、輸入全体の4%弱だった。欧州委によると、GSPの対象国を80カ国に削減した場合、輸入額は約380億ユーロに減少するという。
\GSPの対象外となる具体的な国名は公表されていないが、世界銀行によって「高所得国」あるいは「高位中所得国」に3年連続で該当した国は自動的に適用対象外となる。欧州委のデフフト委員(通商担当)は会見で、BRICsのほかサウジアラビア、カタール、タイ、マレーシアに言及した。
\デフフト委員は「世界の経済バランスは大きく変わった」と指摘。現在の競争環境で特恵関税を認めるとすれば、最も必要としている国が最大の恩恵を受けられるようにするべきであるとの認識を示す一方で、今後は自由貿易協定(FTA)の締結に力を入れていく考えを明らかにした。
\