2011/7/18

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏財務相、金融安定基金の機能強化で合意

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は11日に開いた財務相会合で、ユーロ圏の信用不安問題について協議し、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う総額4,400億ユーロの「欧州金融安定基金(EFSF)」の機能を強化することなどで合意し […]

ユーロ圏17カ国は11日に開いた財務相会合で、ユーロ圏の信用不安問題について協議し、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う総額4,400億ユーロの「欧州金融安定基金(EFSF)」の機能を強化することなどで合意した。ギリシャに端を発した財政危機がイタリア、スペインに波及するのを阻止するのが狙い。近く詳細を詰める。

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ユーロ参加国の政府保証によるEFSFは、深刻な財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う総額7,500億ユーロの「ユーロ防衛基金」の中核。これまでにギリシャ、アイルランド、ポルトガルへの融資を決めている。

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同基金の機能強化は、ギリシャに対するEUの第2次金融支援をめぐる調整が難航し、信用不安がイタリア、スペインにも広がりつつあることを受けたもの。これまでイタリアは、巨額の債務を抱えるものの、国債利回りが比較的低く、国債発行で資金を容易に調達できていたが、財政再建を主導するトレモンティ財務相とベルルスコーニ首相の対立で財政再建の先行きが不透明となったこともあって前週から国債利回りが急上昇。10年物国債の利回りは11日、ユーロ導入後で最高の5.7%に達した。スペインでも同様の状況で、国債利回りは同じくユーロ導入後の最高水準に達している。

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イタリアとスペインはユーロ圏で第3、4位の経済国。両国の財政危機による影響はギリシャ、アイルランド、ポルトガルの場合と比べ物にならないほど大きい。3カ国を合わせた経済規模はイタリアの半分で、イタリアが金融支援を要請した場合にEUは応じきれない。このため、今回の財務相会合では、信用不安拡大を食い止めるための措置導入が大きな議題となった。

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財務相会合は「ユーロ圏の金融安定を断固として守りぬく」とする共同声明を発表。「信用不安拡大のリスクに備えた」措置の導入を検討していくことを明らかにした。

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具体策は不明だが、EFSFがギリシャなど財政危機に陥っている国の国債を流通市場で買い上げたり、各国が買い上げるための資金を提供できるようにする案が浮上している。これにより各国の債務を減らし、信用不安を緩和する狙いがある。

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このほか、すでにEFSFの支援対象となっているギリシャ、アイルランド、ポルトガルについて、融資利率引き下げや返済期限延長に応じる見通しだ。

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21日にユーロ圏特別首脳会議

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同日の会合では、すでにEUとIMFから総額1,100億ユーロの金融支援を取り付けているギリシャへの第2次支援についても話し合われたが、大きな前進はなかった。EUのファンロンパイ大統領(首脳会議常任議長)は15日、ユーロ圏17カ国が第2次支援およびEFSF強化の詳細を決めるため、21日に特別首脳会議を開催すると発表した。

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第1次と同規模になるとみられる第2支援では、EUとIMFによる融資、国営企業の民営化による資金調達に加え、ギリシャ国債を保有する民間銀行などが償還期限を迎えた際に自発的にロールオーバー(買い替え)に応じることを条件とする方針だ。しかし、ロールオーバーについて、格付け会社がデフォルト(債務不履行)とみなすと警告。欧州中央銀行(ECB)も難色を示しており、詳細を固める作業が難航している。

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