2011/9/26

競争法

IBMが競争法違反問題で改善策、抱き合わせ販売の調査打ち切り

この記事の要約

欧州委員会は20日、米IBMが大型汎用コンピューターの分野で市場支配的な地位を乱用した疑いがあるとして昨年から調査を進めている問題で、同社から保守サービス市場における商慣行について改善策が示されたことを明らかにした。欧州 […]

欧州委員会は20日、米IBMが大型汎用コンピューターの分野で市場支配的な地位を乱用した疑いがあるとして昨年から調査を進めている問題で、同社から保守サービス市場における商慣行について改善策が示されたことを明らかにした。欧州委はIBMが大型汎用コンピューターの保守サービス市場からライバルを締め出そうとしたとの疑いを強めていたが、同社はこうした懸念に対応するため、向こう5年間にわたり、他社がIBMの予備部品や技術情報にアクセスしやすくする方針を打ち出した。欧州委は今後1カ月間、各方面からIBMの提案に対するコメントを受け付け、反論がなければ同社に対する調査を打ち切る。

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欧州委は大型汎用コンピューター市場におけるIBMの商慣行について、昨年7月から2件の調査を進めていた。1件は大型汎用コンピューターのハードウェアを自社の専用基本ソフト(OS)とセットで販売する行為に関するもので、エミュレーションソフト(特定のコンピューターやOS向けに開発されたプログラムを、異なる環境のコンピューターで使えるようにするソフト)ベンダーの米T3と仏ターボハーキュリーズの申立てを受けて調査に着手した。もう1件は大型汎用コンピューターの保守サービス分野における反競争的行為に関するもので、欧州委は先月、IBMが市場支配的地位を利用して、競合する大型汎用コンピューターのメンテナンス事業者に予備部品を供給する際、「不当な条件を課した疑いがある」との見解をまとめ、同社に商慣行の改善を迫っていた。欧州委によると、IBMは市場支配的地位の乱用があったとする同委の見解には同意できないとの立場を示したうえで、制裁を回避するため、社内に専門のポジションを設けて他社がIBM製の予備部品や技術情報に容易にアクセスできるようにすることを約束した。

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一方、大型汎用コンピューターのハードウエアとOSの抱き合わせ販売に関しては、T3などが苦情申立てを取り下げたため、欧州委は20日までにIBMに対する調査を打ち切った。

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