2011/11/14

産業・貿易

EUは電力インフラ投資加速を=欧州気候基金報告書

この記事の要約

ブリュッセルに本拠を置くシンクタンクの欧州気候基金(ECF)は7日に発表した報告書で、EUが掲げる温室効果ガス削減の長期目標を達成するため、加盟国は2020年以降に電力インフラへの投資額を倍増させる必要があるとの見解を示 […]

ブリュッセルに本拠を置くシンクタンクの欧州気候基金(ECF)は7日に発表した報告書で、EUが掲げる温室効果ガス削減の長期目標を達成するため、加盟国は2020年以降に電力インフラへの投資額を倍増させる必要があるとの見解を示した。

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欧州委員会は3月、温室効果ガス削減の長期目標を達成するための行程表を発表。その中で、セクター別の排出削減の見通しを明らかにし、電力部門は再生可能エネルギーや原子力などの利用比率を引き上げることで、二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに90年比で54~68%、50年までに93~99%削減することが可能とした。

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ECFの試算によると、工程表で示された削減率を達成するためには、2020年までに低炭素発電システムの整備に総額6,280億ユーロ(発電に5,670億ユーロ、バックアップ設備に150億ユーロ、送電網の拡充に460億ユーロ)が、2030年までにさらに1兆1,530億ユーロ(発電に1兆280億ユーロ、バックアップ設備に570億ユーロ、送電網の拡充に680億ユーロ)がそれぞれ必要になるという。ECFはまた、50年に電力部門をほぼゼロエミッション化するための中間目標として、30年時点でエネルギーミックスの構成比率を、再生可能エネルギー50%、34%を化石燃料、8%をCO2回収・貯留(CCS)、17%を原子力とすることを提言している。

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低炭素経済への移行に向けたインフラ整備には莫大な投資が必要となる。ECFでは、必要な資金を調達するためには既存の調達方法に加えて、資産担保債券の発行など新たな仕組みを活用することが望ましいとしている。

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