2012/4/16

総合 –EUウオッチャー

ギリシャが5月に総選挙実施、財政再建の是非焦点に

この記事の要約

ギリシャのパパデモス首相は11日、総選挙を5月6日に実施すると発表した。総選挙は2009年10月以来で、債務危機による信用不安が深刻化してから初めて。信用不安解消に向けた財政再建の行方を左右するだけに、大きな注目を集めそ […]

ギリシャのパパデモス首相は11日、総選挙を5月6日に実施すると発表した。総選挙は2009年10月以来で、債務危機による信用不安が深刻化してから初めて。信用不安解消に向けた財政再建の行方を左右するだけに、大きな注目を集めそうだ。

\

ギリシャではEUと国際通貨基金(IMF)による第2次金融支援の受け入れをめぐって混乱していた昨年11月、当時のパパンドレウ首相が辞任。欧州中央銀行(ECB)前副総裁のパパデモス氏を首班とする3党連立の暫定政権が発足した。同政権は当面の課題だった第2次支援実施を取り付けたほか、ギリシャ国債を保有する民間債権者との債務減免交渉をまとめ、信用不安の拡大に歯止めをかけることに成功したことから、正式な政権の発足に向けた総選挙実施に踏み切った。

\

選挙で最大の焦点となるのが、金融支援の条件としてEUなどに約束した財政再建策の是非。国民に大きな負担を強いる厳しい緊縮策に世論が反発しており、財政再建推進を掲げる連立与党の全ギリシャ社会主義運動党(PASOK)と新民主主義党の苦戦が必至の状況にある。最新の世論調査では、単独で過半数を確保しそうな政党はなく、支持率はトップの新民主主義党でも18~25%。PASOKと合わせた支持率も36%と過半数を大きく割り込んでいる。総選挙後の政局は、両党と緊縮策に反対する野党との連立交渉が軸となりそうな気配だ。その行方によって財政再建が混迷し、信用不安が再燃する恐れがある。

\

パパデモス首相はテレビでの演説で、「我が国は厳しい道のりの途中にある。今回の選挙は新政権を決めるだけでなく、ギリシャの向こう十数年の行く末を決めるものになる」と述べ、財政再建遂行に対する支持を呼びかけた。

\