2012/8/6

総合 –EUウオッチャー

ECBが国債購入の早期再開見送り、市場に失望感広がる

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は2日に開いた定例政策理事会後の記者会見で、信用不安対策として、スペインなど重債務国の国債の買い取りを再開する方針を打ち出した。ただ、早期の実施を見送ったため、市場では失望感が広がり、ス […]

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は2日に開いた定例政策理事会後の記者会見で、信用不安対策として、スペインなど重債務国の国債の買い取りを再開する方針を打ち出した。ただ、早期の実施を見送ったため、市場では失望感が広がり、スペイン、イタリアの国債利回りが一段と上昇した。

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ECBは2010年5月から、ギリシャの財政危機で動揺した金融市場を支えるため、財政悪化国の国債を流通市場で買い取るという異例の措置を実施しているが、3月から中止している。しかし、財政危機に直面するスペイン、イタリアの国債が売られ、利回りが急上昇していることから、ECBに同措置の再開を求める圧力が増大。ドラギ総裁は先月末、「あらゆる手段を講じる用意がある」と述べ、国債買い入れの再開を示唆していた。

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市場では、ECBが今回の理事会で国債購入の即時再開を打ち出すとの期待があった。しかし、ドラギ総裁は記者会見で「数週間以内に」詳細を固めると述べ、早期の実施を否定した。ユーロ圏でドイツが同措置に慎重なことから、調整が必要と判断したもようだ。さらに総裁は、財政危機に直面するユーロ参加国に対する緊急金融支援の枠組みである「欧州金融安定基金(EFSF)」またはその後継基金である「欧州安定メカニズム(ESM)」が国債購入を開始することが、ECBによる購入再開の条件になると述べた。

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これを受けて、同日の市場ではスペイン、イタリア国債の売りが加速。スペインの10年物国債の利回りは危険水域とされる7%超えた。イタリアの同国債の利回りも6%台に達した。

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一方、同日の定例政策理事会では、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.75%に据え置くことを決めた。ECBは7月、信用不安による動揺が続くユーロ圏経済を下支えするため、昨年12月以来7カ月ぶりの利下げを実施したばかりで、今回の決定は予想通り。

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