2012/10/22

総合 –EUウオッチャー

司法・内務分野の共通政策、英政府がオプトアウトを検討

この記事の要約

英政府は15日、2009年12月に発効したEUの新基本条約「リスボン条約」で英国に認められた司法・内務分野の共通政策に関する例外規定について、EU共通逮捕状や欧州刑事警察機構(ユーロポール)への参加を含めた130以上に上 […]

英政府は15日、2009年12月に発効したEUの新基本条約「リスボン条約」で英国に認められた司法・内務分野の共通政策に関する例外規定について、EU共通逮捕状や欧州刑事警察機構(ユーロポール)への参加を含めた130以上に上る政策を一括して適用除外(オプトアウト)とする方向で検討を進めていることを明らかにした。ただ、キャメロン首相率いる保守党と連立を組む自由民主党は、親EUの立場から一括適用除外に反対を表明しており、政権内の意見調整は難航が予想される。

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EUの東方拡大に伴う組織的犯罪の横行や国際テロリズムなど、広くEU市民に影響を与える問題に対して加盟国が共同で取り組む必要性が高まるなか、リスボン条約では犯罪問題における司法・警察協力の枠組みが強化され、人身売買、違法な武器取引や薬物取引など、国境を越えた重大犯罪について、欧州議会と閣僚理事会による共同決定手続きに基づいて指令や共通の罰則規定を設けることが可能になった。しかし、英国は税制、社会保障、外交、雇用と並び、司法・犯罪政策についても独自に決定する権限の維持を主張。最終的に英側の要求はすべて容認され、司法・犯罪政策に関しては共通政策の中から英国が選択して参加できる(オプトイン)権利が認められた。

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メイ内務相は議会に対し、「政府は現在、2014年に提示される130に上る司法・犯罪政策をすべてオプトアウトする方向で検討を進めている」と説明。正式に適用除外の手続きをとったうえで、自国の実情に合った政策を選択して共通政策の枠組みに参加したい考えを示した。

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これに対して自民党は、オプトインする政策について保守党との間で合意が成立するまで一括適用除外を承認することはできないと主張。国際テロや国境を越えた組織犯罪に対抗するには、容疑者の迅速な身柄引き渡しを可能にするEU共通逮捕状制度や、ユーロポールやユーロジャストを通じた加盟国間の緊密な協力体制が不可欠との立場を表明している。

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