2012/10/22

競争法

欧州委、ハチソンに周波数売却を要求

この記事の要約

香港のコングロマリット、ハチソン・ワンポアが仏通信最大手フランステレコム傘下の携帯電話サービス会社オレンジのオーストリア部門「オレンジ・オーストリア」の買収を進めている問題で、欧州委員会のアルムニア副委員長(競争政策担当 […]

香港のコングロマリット、ハチソン・ワンポアが仏通信最大手フランステレコム傘下の携帯電話サービス会社オレンジのオーストリア部門「オレンジ・オーストリア」の買収を進めている問題で、欧州委員会のアルムニア副委員長(競争政策担当)は18日、ハチソンが周波数の売却など追加の是正策を講じない限り、計画を認めることはできないとの見解を明らかにした。ハチソン側は欧州委に対し、すでに通信回線網を第3者に開放することを提案しているが、競争上の懸念を払拭するため、同社は買収承認に向けてさらなる譲歩を迫られることになる。

\

ハチソンは2月、13億ユーロでオレンジ・オーストリアを買収することで合意した。ハチソンは「3(スリー)」のブランド名でオーストリアの携帯電話市場に参入している。オレンジ・オーストリアの買収が実現すると、「3」のシェアは22%に拡大し、テレコムオーストリア傘下のA1(シェア41%)、ドイツテレコム傘下のTモバイル・オーストリア(同31%)に次ぐ業界3位に浮上する。

\

欧州委は6月に初期審査を終了した段階で、「3」とオレンジ・オーストリアの統合を認めた場合、オーストリアの携帯電話サービス市場は4社から3社体制となり、寡占化が進んで競争が著しく阻害される可能性があると指摘。買収計画の承認を見送り、本格調査に着手した。

\

複数の欧米メディアによると、ハチソン側は10月8日に行われた欧州委およびオーストリア通信当局との非公式のヒアリングで、他社が「3」の回線網を低価格で利用できるようにして新規参入しやすくするとの譲歩案を提示。オレンジ・オーストリアとの事業統合を通じて高速ブロードバンド網への投資を拡大し、利用者により質の高いサービスを提供することが可能になると主張したもようだ。

\

しかし、アルムニア委員は18日にドイツのトリーアで開催された欧州法をテーマとする会議でロイター通信の取材に対し、「周波数の売却を含む構造的な改善が必要だ」と発言。買収承認には回線網の開放だけでは対応が不十分との考えを示した。欧州委は11月30日までに買収の可否を最終判断することになっている。

\