2012/12/3

総合 –EUウオッチャー

カタルーニャ州議会選、独立派が過半数制す

この記事の要約

スペイン北東部カタルーニャ自治州で11月25日に実施された議会選挙(定数135)で、スペインからの分離独立を訴える勢力が議席の過半数を獲得した。債務危機のもと緊縮策を強める中央政府に対する不満が表れた格好で、独立の是非を […]

スペイン北東部カタルーニャ自治州で11月25日に実施された議会選挙(定数135)で、スペインからの分離独立を訴える勢力が議席の過半数を獲得した。債務危機のもと緊縮策を強める中央政府に対する不満が表れた格好で、独立の是非を問う住民投票実現への機運が一段と高まる可能性がある。

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開票結果によると、独立支持勢力はマス州首相が率いる穏健派「集中と統一(CiU)」が改選前の62議席から50議席と大きく議席を減らしたものの、急進派のカタルーニャ左翼共和党(ERC)は10議席から21議席に躍進し第2党に浮上。合計の獲得議席数71で、過半数を制した。一方、独立反対派は、カタルーニャ社会党が8議席減の20議席、中央政府与党の国民党が1議席増の19議席だった。

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カタルーニャ州はスペインの国内総生産(GDP)の5分の1を占める。独自の言語を持ち、バスク自治州と同じように独立意識が強い。国内最大の経済規模を持つ同州は中央政府に多額の税収移転を強いられており、そのことが州財政悪化の原因となったとの不満も独立機運を高める要因となっている。マス首相は中央政府に求めていた徴税権委譲が拒否されたことを受け、議会選を2年前倒しで実施することを決定。分離独立を争点に据えて自身が率いるCiUの単独過半数獲得を狙ったが、投票直前に同首相の脱税疑惑が浮上したことなどが災いし、CiUは第1党を維持したものの議席を減らす結果となった。マス首相は開票後の演説で「我々が州政府を率いることのできる唯一の勢力だが、単独ではできない。責任を共有する必要がある」と述べ、躍進したERDとの連立に意欲を示した。

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独立を推進する連立政権が樹立されれば、住民投票の実現に一歩前進することになる。ただ、ラホイ首相率いる中央政府は独立を問う住民投票は憲法違反との立場を崩しておらず、州側が住民投票を強行すれば差し止め措置で対抗するとみられる。また、4年以内の住民投票実施を公約に掲げるCiUに対し、ERCは遅くとも2014年までの住民投票を目指し、一方的な独立宣言も辞さない構えを見せており、両党の意見集約も課題となる。

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